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番外編【当たり前に】奏斗side 4
「なんか、四ノ宮と真斗が、直接連絡とってるって、不思議」
「もう弟みたいなものだから。いや、もう弟だから」
「それ、わざわざ言い直す必要あった?」
みたいなもの、であってるんじゃないだろうか。
思いながらクスクス笑ってると。
「気持ちは家族」
とか言って、四ノ宮はクスクス笑ってる。
「ね、これでいい?」
いい? と聞きながら、もう送信済みのメッセージを見ると。
『ずっと推してて。オレも真斗推してる。奏斗のこともずっと推す』
と良く分からないメッセージ。
すると、ふふっと笑ってる感じのスタンプが真斗から返ってきた。
この二人。なんか良く分からないけど、そういえば最初からなんとなく通じ合っていたような気がしてきた。やっと電源を落としてスマホをしまった四ノ宮に、ついてきてたウェットティッシュを渡す。
「ありがと」
「うん」
手を拭き終えると、「抹茶……どんな味だろ」と四ノ宮が笑う。
「ん、奏斗」
抹茶を手に取ると、オレの口に、ほい、と差し出してくるので、ぱく、と食べる。
「……んー」
「どう?」
クスクス笑いながら、オレの反応を待ってる。
「ちょっと甘い抹茶なんだね……うん。抹茶アイス、みたいな感じかな……ん」
オレが四ノ宮の口にポップコーンを差し出すと、口を開けて食べた後で、何やらじっと見られる。
なんか恥ずかしいこと、また言われそうなので。
「つか、何も言わなくていいからな」
ぱくぱくぱくぱく、とポップコーンを四ノ宮の口に詰めようとしてると、待って、と笑われて、手首を掴まれた。
「照れなくていいのに」
「――――」
掴まれてる手首。四ノ宮の手はでっかいから、なんか手首、軽々掴まれて、なんか。――――そういう時に掴まれてるのを思い出して……ドキッとする。わー。なんか、ヤバい。
「食べさせてくれて嬉しいけど、つめこまないで」
前にも人がいるから、ちょっとヒソヒソ声で言いながら、四ノ宮がクスクス笑ってオレを見つめる。空いてる手で、ひょいとポップコーンを摘まみ、ぱくとまた食べさせられる。
「バターは? おいしい?」
「ん」
ふ、と笑んで、頷くと、手を軽くつかんでいた四ノ宮の手がそっと離れた。
なんだか掴まれてたとこが、少し気になって、片方の手ですり、と撫でると。
「え、痛かった?」
と四ノ宮が少し首を傾げて聞いてくる。
「ううん。痛くない」
「そか」
ただ、いつもより少し強く抑えつけられるあの瞬間を、思い出しただけで。
「……」
なんだこれ。こんなこと考えてるなんて、恥ずかしすぎて、絶対言えない。
ぽふ、と背もたれに寄りかかって、画面に集中することにする。
四ノ宮もおんなじように背もたれに寄りかかった。
緩いペースでちょっとずつポップコーンを食べながら。
ちら、と横の四ノ宮を見つめる。
一番後ろ、誰もいない端。
こんな席を取ったのは……触る気かなあなんて思ったけど、絶対外でなんてやだから、断ろうとも決めてたのだけれど。
「――――ん?」
オレに気づいた四ノ宮が、ふ、と優しく笑いながら、耳を寄せてくる。
何か用かと思ったみたい。
ううん、と首を振ると、そう? と離れてく四ノ宮を見つめる。
触られなければ触られないで、なんか、気になるとか。
ほんとオレってば。……実は、触ってほしいのか?
……さっきといい、なんだかなぁと、自分に呆れる。
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