490 / 542
番外編【諦めるか否か】大翔side 1
甘々番外編の後にすみません💦
奏斗に振られた後の大翔。書きたかったので…そんなに長くはならないと思います。
(後日ものすごく長くなりました
◇ ◇ ◇ ◇
何がいけなかったんだろう。
奏斗に無理だと断られてから、ずっと考えてる。
「大翔ー?」
「――」
「なー大翔」
「――ああ……なに?」
肘をついてぼんやりしていたオレは、呼びかけていた友達に視線を向けた。
「全然聞いてなかった?」
「うん。ごめん」
「ひろとー……」
そのやりとりを聞いてた周りが、ははっと笑った。続けて色々話し始める。今度は一応聞いてはいたけれど。
頭ン中は、あれからもうずっと、奏斗のことばっかり。
「今日和希に会った。大丈夫になった。今度会って話す」
そんなことを、言っていた。
和希と――よりを、もどすってこと? いままでは、無いと言ってたけど。
すごく好きだったらしいし。分かんないよな……。
だから、急に、オレに無理って、言ったのか。
今頃。和希と、付き合ったり……してんのかな……。
――幸せなら、良い。
奏斗が。
何度も、そう思う。
でも。
おなじだけ、何度も。
オレが幸せにしたいのに。
奏斗がそれを望まなければ、意味がないことなのに、何度も何度も、そう思ってしまう。
テストは、頑張った。こんなことで成績さげんのは馬鹿だと思うし。集中することがあるのは、却って良かった。
ここ最近ずっと奏斗と食べていたから。家で一人になるのがだるくて、食事はほとんど外で済ませた。他の奴と過ごす時間も、増えた。
奏斗には、会わない。
……会わないように、時間を合わせないようにしている。
偶然会ったからって、どうなるものでもないと思うから。
オレが元々、ゲイじゃないから。
出会いが普通じゃないから。関係の持ち方が普通じゃないから。部屋が隣で、一緒に居すぎたから。
それで勘違いした。……離れないといけない。
オレを好きになる奴は、これからたくさん、居る。
最後の奏斗の言葉が、もう、ずっと。
オレの中で回ってる。
――――他の奴なんて、関係ない。
オレが、好きなのは、奏斗だ。
生きてきた中で、こんなに大事に思ったのは、奏斗だけ。
これから先、大事じゃなくなることなんて、絶対無いって、思ってる。
オレの腕の中に居た奏斗が愛おしすぎて、他の奴なんか抱ける気がしない。
どんな出会いだって、もともとゲイじゃなくたって、
どんな経緯を通ったからって、好きになったから、好きなんだ。
オレのこと、今、本気で好きじゃなくてもいい。
そう言った時。初めて、奏斗の表情が、揺れたように見えた。
泣きそうに。見えた。
でも。
「無理だよ。好きって応えられないのに、付き合うなんて、出来ないよ」
そう言われた。
応えられない。
オレの想いには、応えられない。頑なな意志が、その顔に見てとれた。
ありがとうと、ごめん、だけを残して、奏斗は、消えた。
あっけない、終わり。
突然、遮断された。
毎日のように一緒に居て、寝起きして、食事してたのに、
突然、オレの世界から、完全に居なくなった。
今頃、和希のもとに居るかもしれない……?
そんなの、どう受け止めればいいんだか分からない。
確かめたいけど、確かめる権利もない。確かめたって、何にもならない。
奏斗の頑なさが、今までとは違った。受け入れてくれることはない。
無理矢理奏斗のところに行っても、好転はしない。だから行けない。
……最初から、思うことを伝えていたら。
恋人ができるまでオレが抱くとか。付き合う、みたいなこと、オレは言ってたけど。……あれもいけなかったのかな……。
もっと早く、ちゃんと考えて、ちゃんと好きだって伝えていたら、良かったんだろうか。もっと早く、好きだから、本当に大事なんだって。
和希のことなんか忘れるようにオレが、大事にするからって、言えば……?
――――……今更、おそいか。
頭のなか、ずっと同じことばかりで。
進むことのない思考に、おかしくなりそうだった。
夏休みの前に、一度だけ、相川先輩に会った。
オレの周りで皆が夏休みの話をしていた時だった。パンフレットを持ってる奴も居たので、それを見た相川先輩が、聞いてもないのに、オレも奏斗とかと旅行に行くんだーと話していった。
そっか。元気なんだな。良かった。
……和希と居るんだろうか。奏斗に恋人出来たか、とか。相川先輩に聞きそうになったけど、多分よりを戻していても、周りには言わないだろうと、聞くのをやめた。
元気で良かったと思う一方で。
……オレと離れても、何の関係もなく元気なのかと思うと。
複雑な思いが胸を焼いた。
こんなのも……勝手な想いだ。
――――……オレが勝手に好きになって。
勝手にずっと居るなんて決めて。
そんな中。
……絶対の、家族旅行。
体調不良。……嘘じゃない、大体にして、ずっと体調も機嫌も最悪だ。
それを理由に断ろうと言いかけたが、親父に秒で却下された。
ともだちにシェアしよう!