516 / 542
番外編【諦めるか否か】大翔side 27 ※
※
しばらく触れてなかったけど、感じるところは変わらない。
ひたすら気持ちいいところを可愛がっていく。息が上がって、どんどん熱くなって、一生懸命に快感をこらえてる奏斗の耳に、唇を寄せた。
「恋人になって、初めてだもんね……」
囁いて、耳を舌を弄りながら、指で中を慣らす。
「ん、ふ……っ……ん、んん……」
気持ちよすぎて無理、みたいな顔で、うるうる見つめてくるとか。マジで可愛すぎて、腰に来る。深くキスしてても、もっと、どこまでも溶け合いたくて求めてしまう。
「……ん、ぅ……っ」
激しいキスの間で、漏れる声が可愛くてたまんない。中を慣らして、イかせて、朦朧としてる奏斗のそこにあてがう。久しぶりだし、そんなに激しくしちゃだめだと思うのだけれど。
「……あ……ッん、……はっ……」
少しずつ慣らしながら入れるけれど、気持ちいいしか、無さそう。そう思ったら、もう我慢できなくなってくる。
奥まで入って、慣らして、引いてから突き上げると、気持ち良くてびっくりしたみたいに見開いた瞳が、すぐに、ぎゅうっと閉じた。
「……ンぁ……っ……あっ……しの……ッ」
名前を呼ばれるの――――……愛しくてたまんない。
喘ぐ奏斗を呼ぶと、頑張って目をあける。オレと目を合わせると、ぽろ、と涙が零れてく。
「可愛い」
抱き締めて奥まで入れると、中をきゅう、と締め付けられて、気持ちいい。
「……好き……しの、みや」
抱いてる間に、そんなこと言われるの。
当然、初めてだ。
ん、と頷いてから。なんか、泣きそうで。ぎゅう、と抱き締めて堪えた。
「素直なの……オレ、ほんっとに、ヤバいんだけど……」
息が荒くなってるのを抑えながら。泣きそうなのも、なんとか堪えた。だって、好きって言われたからって、抱いてるオレが泣くって……オレ、さっきも泣いたとこ見せたし、絶対無理だと思ったから。必死で我慢。
やっと落ち着いて、は、と息をついた時。奏斗が何も言わないことに気づく。少し奏斗を離させて、「奏斗?」と呼ぶと、ぎゅ、とつむってた目を開けて、オレを見上げてくる。
――――……。
なんかもう。その、涙がウルウルしている瞳に、心臓を貫かれる、みたいな気分。
押さえきれず、ふ、と笑みが零れてしまう。
「すっごいウルウルしてるし。可愛いなあ、もう……」
素直な涙。
……オレは無理矢理、止めたけど。
奏斗は、潤みまくった瞳で、まっすぐオレを見つめてくるんだな……と思うと。素直な奏斗が、可愛くて、どうしようもなくなる。
触れたキスを離して、見つめ合っていたら。
今まで、使おうと思ったことすらない言葉が、突然浮かんだ。
「――――愛してるよ、奏斗」
言った自分に、自然と笑みが浮かぶ。
もう、愛してる、しか、無い気がする。
可愛いし、大好きだし。でもなんかそれだと足りないような。
もう、全部全部、愛したいって、本気で、思ってる。
奏斗と手を重ねて、奏斗の顔の横で押さえる。じっと見つめ合っていたら、不意に浮かび上がった大粒の涙が、奏斗の目の端から、零れ落ちて行った。
「……奏斗?」
ちゅ、と涙を舐めとる。
「……感動した?」
少し笑ってそう聞くと、一瞬ムッと唇を噛んだ奏斗は、それでも、ん、と頷いた。
「はは。もう……ほんと、可愛すぎ……」
素直に、オレに、好きって言ってくれて。
愛してるって言ったら、ポロポロ泣いて――――。
もうオレ。
絶対、ずっと愛してくから。
また一人で勝手に、誓いを立てた。
「愛してる」なんて言葉。……そんなくそ恥ずかしい言葉、
オレは、絶対言わないと思ってたのに自然と溢れたことに驚くけれど。
「愛してる」って囁くたび、奏斗と深く繋がる感じがした。
何度も奏斗を抱いて、数えきれない位、キスをして。
奏斗が、意識を失うみたいに眠りにつくまで、離せなかった。
心ン中は。
愛しいって気持ちで、溢れるみたいで。
眠った奏斗に薄い布団をかけて、座ったままその髪を撫でる。
見つめていたら。
ふ、と涙が浮かんで。
今度は堪えることもできずに、まっすぐに、零れ落ちた。
……はー。
マジか。
自分に少し呆れつつ。
ぐい、と手の甲で拭った。
「……ありがと。奏斗」
――――オレを、好きに、なってくれて。
ぐっすり眠ってて、起きそうにない。
そっと、口づけた。
ともだちにシェアしよう!