518 / 542

番外編【諦めるか否か】大翔side ◆終

皆さま♡ ここまでお付き合いくださってありがとうございました。 ひとまず、大翔サイド、ここで終わります。 幸せな気持ちで読み終えて頂けたらいいなと思いながら書きました。 感想やレビューは今後の励みになるので、一言でもぜひ🥰✨ それから今ムーンでも、少し推敲したもので投稿しています。ムーンてなかなか読まれない? 長編すぎるから? ブクマがエブリとかの何十分の一なのですが(笑 完結したら読んで頂けるのかな~?と思って、出来る時にぽちぽち転載しております♡ 良かったら、いつか読み直して頂くならぜひそちらで~✨  ムーンでは「星井悠里」になっています♡ ここで、一旦完結にします。 ありがとうございました(★´∀`)ノ  悠里 ◇ ◇ ◇ ◇ 「あれ。四ノ宮に戻ってる。大翔って呼ぶんじゃないの?」  からかうようにそう言ったら。 「……恥ずかしいからたまに呼ぶことにする」 「はは、何それ」  奏斗らしくて可愛いので、ぎゅ、と抱き締めておく。 「やっぱり可愛い」  言いながら、また唇を深く重ねる。  もう、可愛いしか、ないんだよ、奏斗。 「……奏斗……」  キスの間で、何度も呼んでしまう。  今までの彼女に言ったら、めちゃくちゃ怒られると思うけど。オレは、ちゃんとした意味で、人を愛したのは、奏斗が初めて。  奏斗が、初恋だと思う。  奏斗は、和希にちゃんと恋してたんだろうから和希が初恋なんだろうけど。  オレとの恋が、初恋よりもいいって。  一番、甘くて優しくて幸せだって、思ってもらおう。  人生長いし。まだこれから色んな人に会うんだろうけど。  オレが守りたくて、大事にしたくて、笑わせて居たいのは、  絶対、奏斗だ。  運命の人との出会いって、いつ来るものなのか分かんないけど。  オレ達は、早く出逢えて、良かったと思う。  奏斗のことが、大好きすぎて。  くすぐったいくらい、甘い感情が、胸の中に溢れる。 「四ノ宮」 「ん」 「……好き」 「うん……そこ、愛してる、じゃないの?」  クスクス笑うと。 「それも恥ずかしいから、たまに言う」  ……可愛いな。恥ずかしがるの。  「たまに言ってくれるんだ」と微笑みながら言う。 「愛してるよ、奏斗」  囁いて抱き寄せる。  キスしたまま少し見つめ合う。ゆっくりと伏せられていくまぶた。最後に伏せる瞬間、ふ、と緩んで、嬉しそうに笑んだように見えた瞳が愛しくて。    奏斗を抱く手に、力がこもった。 ◇ ◇ ◇ ◇  久しぶりに奏斗と食べる朝食。  もちろん、ホットサンドを作ってあげた。  久しぶり、と言って、パンに挨拶?してる奏斗に笑ってしまう。  もちろん、席は、隣。 「もうさ、隣に座っても、変って言わない?」 「……んん? どうだろ、四人掛けに並んで座るのは普通に考えたら……」 「もう恋人だし、横に座る理由があるじゃん」 「……理由」  んー、と考えてる奏斗に、うそでしょ、と笑う。 「近くに居たいから。じゃん」 「――――……」  ぽ。と染まる頬。  真っ赤、て感じじゃなくて、少しだけ、赤がさした頬が、可愛い。 「女の子みたいだね、言うこと。可愛すぎない? 四ノ宮……」 「それはちょっと待って。女の子とか、嫌すぎる……」 「いいじゃん、可愛いって言ってるんだよ?」 「オレ、可愛くなくていいし」 「可愛いって正義だって言ってたよ」 「誰が?」 「……誰かが言ってた」 「なにそれ。まあいいや。じゃあ奏斗イコール正義だね」 「それこそ何それ」 「だって奏斗は、ずっと可愛いから」 「……オレだって別に可愛くなくていいし」  むー、と言いながら、ぱく、とホットサンドを食べて、おいしー、とほくほくしてる奏斗の、後頭部を撫でてしまう。 「可愛い」 「……あの。恥ずかしいから、やめて。食べてるし」 「食べ終わったら言うね」 「いいよ、言わなくてー」 「言うから。一生言うから」 「えええ……」  言い合って。そこで止まって、ふ、と笑い合う。  楽しいな、なんて思いつつ、食事が終わって、そのままコーヒーを飲みながら、ふと、思い出したこと。 「オレねー、奏斗」 「ん?」 「母さんのことさぁ」 「うん」 「……世間知らずでちょっとおかしな人かと思ってたの」 「はー? 超失礼」  眉を寄せてる奏斗に、苦笑してしまう。 「だって、親父のパーティーなんか、なんも楽しいことないのに、楽しそうにいつも出てるし、もうなんかお花畑に住んでる人かなーって。優しいから嫌いではなかったけど。うちの親さ、子育て自体は人任せだったって言ったっけ?  忙しいし、夜とか出かけることも多いしさ」 「うん。そうなんだ……でも失礼」 「うん。そう、失礼なんだけどね」 「ん? だけど?」    じっと見つめられて、ん、と頷いて。 「……今回奏斗のことで話してて、認識が、全然逆だったって分かった」 「逆?」 「……お花畑なんじゃなくて……なんというか、ふわふわしてんだけど、これが大事ってものがはっきりしてて、それ以外は、どうでもいいみたいな……? 多分親父のことが大事で、パーティーも、それに意味があると思ってるから、あんなに楽しそうにしてるんだって。嫌な奴とか、変な奴とか、絶対いるだろうにさ、へっちゃらな感じにしてるのは、気付かないんじゃなくて、多分、あれは、そっちはどうでもいいって思ってるんだろうなーと」 「なるほどー……」 「だから、強いんだと思う。今まで思いもしなかった」 「ふうん。そっか」 「……親父が、母さんと結婚して正解だったっていうのは、ただほわほわしてるからっていうんじゃないんだろうなーって、今回ちょっと思ってさ」  クスクス笑ってしまう。 「物心ついてからずっと、母さんは変わってるなーってと思ってたんだよ。すごくない?」 「……んー、それすごいって言うの?」  なんだか、クスクス笑い合う。 「ていうか、まだ、今も変わってるとは、思ってる」 「そうなんだ」  ふふ、と奏斗が笑う。 「でもね。オレが幸せならいいんだって。奏斗が、息子になってくれたら、嬉しいって。奏斗が断った理由が、オレのためなら、頑張っておいでってさ。すごい、背中押された」 「――――……」 「姉貴とかも、特に結婚してからは全然絡んでなかったしさ。なのにすげーオレのこと知られてるし。親父も、早く見合いして結婚して後をつげって思ってるんだと思ったら、どうやら違うっぽいし」 「……いいよね。四ノ宮の家族」 「まあオレは今回、奏斗とのことで、家族を見直したから。まあ、これは、引いては奏斗のおかげだね」 「……んん? そう??」  苦笑の奏斗に。 「奏斗とこうならなかったら、オレは一生、家族のそういうのも知らないままで、オレ自身は、どーせ外見と金だろーとか言う人間になってたかもしれない」 「……そうかな?? どこかで気づいてたんじゃない? 四ノ宮、ほんとのとこは、全然やな奴じゃなかったし」 「奏斗が居たからだよ」 「――――……」 「素直に考えて、素直に言葉にすることとか。善意の方を信じるとか。人がいいなーてとことか。そういうの見てたら……なんとなくオレの中で、軌道修正が出来たって感じ」 「――――……」 「もしオレが今いい奴なら、奏斗がいい奴だからだよ」 「……なんかおおげさだし……オレのおかげではないと思うけど」  奏斗はクスクス笑って、オレを見る。 「オレといると、四ノ宮にいい影響が出る……っていうなら、嬉しい」 「出まくりですから」 「から?」  くい、と引いて、奏斗をぎゅ、と抱き締める。 「だから、ずっと側に居てね」 「――――……うん」  背中に、奏斗の手が、ぴと、とくっついてくるのが、愛しい。 「ほらね?」 「??」 「隣に居れば、こうやってすぐ抱き締められるじゃん?」 「……ん。分かった」  ふふ、と笑って、奏斗が頷く。  すり、と顎に触れる、柔らかい髪の毛が、愛おしい。  ずっと。隣に居るからね。  抱き締めながら、誓った。 「初恋よりも甘い恋なんて」  大翔番外編 -FIN- (2024/5/11)

ともだちにシェアしよう!