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番外編【夏祭り】12 *奏斗

「今度は、大翔の恋人として、皆に会ってやって。もちろん、行こうって思えた時でいいんだけどね。多分、お母さんなんて、今日、ユキくんに会ったって言ったら、ずるいって大騒ぎすると思う」  ふふ、と笑う瑠美さん。 「前だったらね、私、ユキくんにこう言ったと思うの」 「?」 「大翔って何考えてるか分かんなくて大変でしょ。でも中身はわりといい子だから……って、言ったと思うんだけど」 「――――……」  少し前のオレなら、めちゃくちゃ頷いた気がする。ふ、と笑ってしまいながら、瑠美さんの言葉の続きを待っていると。 「今の大翔は、分かりやすいし。隠したりひねくれてたりが全然ないみたい。なんだか素直で、ちょっとびっくりする」  潤くんをだっこして笑ってる四ノ宮を、ふ、と微笑んで見つめる瑠美さんに、「……オレも」と呟く。 「ん?」  オレに視線を戻して、ふ、と微笑む瑠美さん。 「最初の頃は、良い人すぎて、笑った顔がうさんくさい、て思ってたんです」  そう言うと、瑠美さんは一瞬オレをマジマジ見つめてから、あはは、と笑い出した。 「あら。当たってるーすごいね、ユキくん。あれ、なかなかバレないのに」 「それに、四ノ宮もオレのこと、いっぱい苛々することあったと思うし」 「そうなの?」 「心配も、迷惑も、すごくかけたので……何でオレのこと、そう思ったのかは、今も、よく分かんないんですけど」 「……ん」  綺麗な唇で微笑みを作って頷いて、オレの言葉を待っててくれるので。 「……でも、今は信じてて。オレも、ずっと居れたらって、思ってる、ので」 「――――……」 「……よろしくおねがいします」  頭を下げて言ってしまってから、はっと気づく。  ……って変かな、こんなとこで。よろしくお願いしますって。もっとちゃんとしたところで言うべきだった? なんか話の流れで言っちゃったけど。  急に焦って、心の中、バクバクしすぎていると。 「もちろん。こちらこそよろしくお願いします」  うっとりするくらい綺麗に微笑んで、ぺこ、と頭を下げてくれる。少し伏せた視線が上を向いてオレと目が合うと、瑠美さんは、にこっと満面の笑顔。 「可愛い弟が、増えて嬉しい」  ふ、と笑った瑠美さんの腕が、オレの腕にかかって、ぐい、と引かれて、そのまま、四ノ宮と潤くんの近くまで連れていかれる。 「大翔ー」  振り返った四ノ宮は、「ん?」と、瑠美さんとオレに視線を向けると。 「ん? っつか、腕組むなよ」  四ノ宮が言った一言に、瑠美さんと顔を見合わせて笑ってしまう。 「いいじゃない。たった今、正式に弟が出来たんだもん」 「何それ? 正式に?」 「ユキくん、可愛くて」  ふふ、と笑う瑠美さんに、四ノ宮が苦笑しながらも、一回離して、とか言って、オレを自分の方に引き寄せる。 「もー、大翔、ケチね」  もう、と可愛く膨れた瑠美さんだけど、潤くんがオレを見つめて「ユキくん、かわいー」と笑うと、瑠美さんも、ふふ、と笑って「そうだよねー」と返した。 「なあ、潤」  四ノ宮が潤くんを見つめて、面白そうに笑いながら呼びかけた。 「うん??」  きょと、とまっすぐな瞳で潤くんは四ノ宮を見上げている。 「奏斗は可愛いの? カッコいいじゃないのか?」 「んと……どっちもー」  少し考えた後、うふふ、と笑う潤くんに、あそ、と四ノ宮が苦笑してる。 「じゃあオレは?」 「ヒロくんは、可愛くないー」  潤くんの言葉に、瑠美さんが、あは、と笑い出す。  多分、四ノ宮は可愛いじゃなくて、カッコいいってことなんだろうけど。  言い方だよね。面白いな。クスクス笑ってしまっていると、四ノ宮がオレを見て、また苦笑い。 「奏斗、オレ、可愛い?」 「え」  ふざけて、楽しそうに聞いてくる四ノ宮に、んーと、と考えた後。 「か……可愛い、かな? たぶん……」  ちょっと恥ずかしくなりながらそう言うと、「ヒロくん、可愛くないよー!」と潤くんが即言って、ぶんぶん顔を振っている。おかしくなって、笑ってしまう。 「潤くん、四ノ宮は、カッコいいんだよね?」  オレがそう言って潤くんを見つめると、ぱあっと笑顔になって、「うん!」と笑う潤くん。……めっちゃかわゆい。  なんかずーっと。心の中が、あったかい。       (2024/8/16) このお話って楽しいですか?(;'∀')?? 大丈夫かな? 私は楽しいんですけど(^^;  長くなっちゃってるので…… だからといって、楽しくないとは聞きたくないのですが(笑)(;'∀')(;'∀')💦 もう少し(しばらく?)で、しめますね~(๑´ლ`๑)フフ♡

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