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番外編【夏祭り】25 *奏斗

 花火と浴衣にあてられたのか、変にふわふわしながら、四ノ宮と一緒に少し歩いて、到着した先は、めちゃくちゃ豪華なホテルだった。 「……?? なに、ここ」 「ちょっと待ってて、手続きしてくる」  そう言われて、フロントの近くのソファに置いていかれた。  座ったまま、あたりを見回すけど、なんか本当に豪華。何で、ホテル……?  ただでさえ、ふわふわしてた変な感覚なのに、もう全然、現実感がない。  見回す限り綺麗で豪華な空間を、ぼーっと見つめていると、四ノ宮が「お待たせ」と言いながら戻ってきた。  ――――なんかほんと。こういうとこも慣れてるのか知らないけど、全然物怖じしないこういう感じは、頼もしいというか。きょろきょろしてるオレとは、ちょっと違う感じがして、じっと見つめてしまう。 「ん? どしたの」  ふ、と笑って、オレを見つめる四ノ宮。笑う感じはいつも通り。ううん、と立ち上がると、「ここ、なに? どうしたの?」と聞くと、四ノ宮が苦笑した。 「姉貴のツテで取ってくれたホテルだってさ。今日のお礼とか言ってた」 「えー?? お礼なんて良いのに。楽しかったのに」 「デートの邪魔してごめんね、楽しんでねってさ。とりあえず部屋にいこ?」  笑ってオレの背中に触れる四ノ宮に、良いのかなぁ、と言いながら、とりあえず歩き出す。  ピカピカした床がつやつやして光ってて、下駄が妙に音を立てるので、なるべく静かに歩く。エレベーターの前にたどり着くと、四ノ宮が上ボタンを押している間、オレは、天井を見上げる。でっかい照明。キラキラしてて圧倒されていると、エレベーターの扉が開いた。動き出すと、扉と反対側は、ガラス越しに、夜景が見える。 「うわ。すご……キレイだね」 「そうだね」  急に連れて来られて包まれてる豪華すぎる綺麗な場所に、なんだか頭が全然ついていけない。  外の夜景も綺麗すぎるし、エレベーターの中の装飾も豪華だし。ホテル内のレストランの写真が飾ってあるのだけど、なんかそれも、めちゃくちゃ豪華な感じで。入るのをためらいそうな。とりあえず、浴衣でさらっと行ける気は全然しない……。 「ていうか、ここ、めちゃくちゃ高いのでは……?」 「姉貴が宿泊代はもう払ったから、食べる物とかは払ってね、って言ってた」 「もー……お金持ち一家、すごすぎるんだけど」 「はは」 「今日なんて、花火大会だったから、余計近くのホテルとかは埋まってるだろうし、高いと思うんだよね」 「運良く取れたって言ってたよ」  面白そうに笑って、四ノ宮がオレを見下ろす。 「部屋入ったら、もっと言いそう」 「ん? 何を?」 「すごいーって。いい部屋っぽいから」  そんな風に言われると楽しみなような、なんかすごすぎると怖いような。  エレベーターが開いて、廊下に出ると「わ……」と思わず声が漏れた。  絨毯の敷いてある廊下。すごく静かで、ドキドキする。柔らかい照明が綺麗で、壁には……やたら高そうに見える絵が、並んで飾られている。 「なんか良い香りがする……」  すごく高級そうな香りが廊下に漂っていて、うーん、もうなんか、高そう、しか出てこないオレ。日常から、あまりにかけ離れてるんだもんなぁ……。 「ここだね」  なんだかやたら重厚感のあるドアの横には、ライトに照らされた部屋のプレート。もう何もかも、綺麗。四ノ宮が「どうぞ」と言ってドアを開けてくれるので、中に入ると。  めちゃくちゃ広いエントランス。おしゃれなテーブルが置いてあって、花が飾られている。少し進むと、広々としたリビングが目の前に。座り心地の良さそうな広いソファと、ものすごく大きなテレビが目に入る。奥は広い窓からの夜景。 「ひゃーなにこれ……なんかここで映画見たい……」 「あとで何か見る? 配信ありそうだよね」 「うんうん。ていうか、こんなの、泊まらせてもらっちゃっていいの?」 「多分」 「なんかこわい……」  オレが、思わず言うと、四ノ宮が「こわがんないで」と苦笑してる。 (2024/12/14) わー、一か月もあいちゃってすみません💦

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