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番外編【夏祭り】26 *奏斗

「四ノ宮、部屋、奥まで見たい。行こ行こ」 「うん。いいよ」  先を歩きながら振り返ると、四ノ宮はクスクス笑いながら後ろをついてきてくれる。  広いリビングを抜けると、隣にも部屋があって、さらにその奥に広い広い寝室。寝室にもでっかいテレビを発見。  そのままバスルームを見に行くと。なんか、バスタブにへんなものがついてる。 「あ、ジェットバスだ」  わぁぁ。しかも、バスルームにもテレビがある……! 「え、なんかもうオレ、貫徹で映画見たい。ソファとお風呂と寝室で」 「貫徹はやめようよ」  四ノ宮がクスクス笑う。 「すごい部屋だね……ちょっと、瑠美さんに、連絡させて?」 「いいよ、明日で」 「一言だけ送っとく」  ん、と四ノ宮が頷くので、「部屋につきました。めちゃくちゃすごい部屋。ありがとうございます」と入れると、すぐに既読がついた。 『良かった。楽しんでね。今さっき、潤が車の中で目が覚めて、ユキくんとヒロくんが居ないーって泣いて、そのまままた寝たとこ』 「可愛すぎますね♡」 『また遊んでやってね。じゃあ楽しんで』  お礼のスタンプを入れると、ハートマーク付きで返事が入ってきて、やり取り終了。 「潤くん、車で起きて、オレ達が居ないから泣いちゃって、また寝たとこだって」  そっか、と四ノ宮が笑う。 「ほんと可愛いな、潤くん。今日ずっと可愛かった」 「うん。そうだね。……ていうか、奏斗の前では余計可愛いかも」  そんな風に言って苦笑してる。 「四ノ宮に似てるから、カッコよくなるだろうな」  まっすぐ見上げると、四ノ宮がなんだか、何とも言えない顔をした。 「何その顔?」  ぷ、と笑ってしまうと、四ノ宮は、んん、と考えながら、オレの腕を引いて、抱き寄せた。 「オレがカッコいいっていうのは嬉しいんだけど――いつかライバルになったら困るし」  ……本気なのか、全然分からない。冗談だと思うんだけど、顔は本気なんだよな。 「本気……じゃないよね?」 「――――さあ……どうだろ? てか、それよりさ、奏斗」  クスッと笑う四ノ宮がオレの頬に触れて、目を細める。 「もう部屋、見たよね?」 「ん? うん」 「じゃあ――」  腰に手が回って、ぐい、と引き寄せられる。 「どこでキスされたい?」  ふ、とキラキラの瞳で、楽しそうに聞いてくる四ノ宮。 「奏斗、すぐ立ってられなくなっちゃうから……どこがいいか選ばせてあげる。あ、でもオレがだっこしてあげながらでも全然いいんだけど」 「――――……っっ」 「早く決めて。オレもう、我慢、限界」  すり、と唇に触れられて。  もう、馬鹿、と赤面しながらも。  どこがいいかなと考えてしまうオレも――馬鹿、かな。

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