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番外編【夏祭り】27 *奏斗
「え、と……せっかくだからさ……?」
考えながらそう言うと、うん? と四ノ宮の形の良い唇が、笑みを作る。まっすぐに見つめてくる瞳に、ドキドキする。
「――夜景、見えるとこがいいな……」
めちゃくちゃ綺麗だから、なんか、見えなくなっちゃうのもったいないなと思って、そう言ったら、四ノ宮はクスッと笑って、オレをひょいっと抱き上げた。
「わ」
「じっとしててね」
クスクス笑う四ノ宮。
そのまま連れられて、窓際のソファのところに連れてこられた。
窓を背にして置いてあるソファに四ノ宮が座って、オレを自分の上に座らせる。四ノ宮越しに、外が見える体勢。
「……ていうかさ。すぐ、夜景なんて見てられなくなると思うけど」
ニヤ、と笑う四ノ宮に、その意味を考えて、瞬間、顔が熱くなる。
「言うこと、すげぇ、かーわい、奏斗」
四ノ宮の太腿の上に、またぐ形で座らされているので、少し下に四ノ宮の顔がある。たまにこの体勢するけど、見上げられる感じが、いつもドキドキしてしまう。
「……奏斗」
後頭部に置かれた手に引き寄せられて、下から、食いつかれるみたいなキスをされる。
「……ん、ぅ」
舌が遠慮なく入ってきて、口の中を這う。
「んン」
声が漏れて、四ノ宮の首に腕を回す。じわ、と涙が浮かんで、少し瞳を開いて視線をあげると、四ノ宮越しに夜景が見えた。キスしながら、とか……すげー、贅沢……。そう思ったのも束の間。
「……っんぅ……」
激しさに、思わず、ぎゅ、と瞳を閉じる。
少し離して、ふは、と息をしてすぐ、また塞がれる。
いつの間にか、オレの方が、少し下に居る。覆いかぶさるみたいにキスされて、絡まる舌に、ぼんやりする。
「……かわい」
囁かれてキスされて、ん、と喘ぐ。
四ノ宮の手が、浴衣の胸元に滑り込んだ。すり、と胸をなぞられて、ぞわりとした感覚に震える。
「んっ……」
すぐに、乳首に指が掠められて、かり、と弾かれる、そんな刺激にすら、ゾクゾクが止まらない。
「……ふ、」
ぎゅ、と瞳を閉じてしまう。
……せっかく、夜景、見えるとこに連れてきてもらったのに。
すぐに見てられなくなるって、四ノ宮の言った通り。
薄く、瞳を開くと、涙で滲んで、豪華なシャンデリアが見える。
「……やっぱりさ、奏斗、たまに浴衣、着てね」
「……ん、ん??」
少し離れた唇の間で囁かれた言葉を、ぼんやりとした頭の中で思い返い。
「たまに、浴衣……?」
「うん」
「すぐ脱がされる、やつ……?」
「うん、そうかもだけど……」
クスクス笑いながら、四ノ宮が首筋にキスしてくる。くすぐったくて、ん、と震えると、胸から背中に手が滑って、ぎゅ、と抱き寄せられる。
「手がするする中に入って、触りやすいし」
「ひゃ……」
背筋をなぞられて、声が上がると、四ノ宮は、ふ、と目を細めて笑う。
「はだけてるの、思ってた以上にエロいし……もうすげー好き」
「……っっもー、恥ずかしい、から……」
顔が熱いからやめて、と思いながら見上げると。
はだけた四ノ宮の胸元に、どき、と胸が弾む。
……オレ、昼間、自分が浴衣フェチってやつではないかと思ったくらい。
いいなって。オレも、思ってたし。
「……っ」
「――奏斗?」
かぁぁ、とますます顔が熱い。
「……オレ……」
「ん?」
ちゅ、と頬や首にキスしながら、四ノ宮がオレを見つめる。
すごく、恥ずかしいけど。
「……オレも」
「うん?」
「――四ノ宮が着てんの……好き」
言った瞬間。
どうしても照れて、どんどん熱くなる。
「うわ。もう、可愛いなあ、奏斗」
「……っっ」
「何でそんな真っ赤なの。もー……ほんとに可愛い」
「つか、なんで、四ノ宮は恥ずかしくないんだよっ」
「オレも照れはしてるよ? でも……あーもーほんと好き」
むぎゅ、と抱き締められる。
……浴衣の中、すっかり手が入ってて、直で背中に触れてる、大きな手。
「手触り、いいなぁ……すげー好き」
「……っ!」
つ、と背筋をなぞられて、びく、と震えると。
見つめ合う四ノ宮の瞳が、男っぽく。熱を持つ。
(2025/1/17)
お久しぶりです✨
男の人の浴衣……いいですよねぇ(*´艸`*)♡
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