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番外編【夏祭り】29 *奏斗 ※
「……あの」
「何?」
四ノ宮は、くす、と笑ってオレの頬を、ふに、とつまむ。
「――――……言ってなかった、んだけどね……」
「うん?」
「……初めて、四ノ宮とした時から……」
「ん」
頷きながら、待っててくれる四ノ宮の頬に、ぴと、と手を触れさせる。
「……きもちよくて、びっくり、した」
「――――……」
四ノ宮が、なんだか瞬きを忘れたみたいに、めちゃくちゃじっと見つめてくる。
「……オレ、キス、嫌だったのに…… 四ノ宮とするのは、きもちよかったから……ほんと、困って……」
困ってって言っちゃった、と自分のセリフに苦笑してしまう。どう思ったかなと、四ノ宮の顔を見ると。
「――――……」
なんだか、ぎゅ、と眉を寄せて、唇を噛みしめたと思ったら、四ノ宮の腕がオレを強く引き寄せて、そのままめちゃくちゃ強く抱き締められてしまった。
「――――……奏斗……」
いまだ繋がったまま。
ちょっとでも動かれると刺激に声が上がりそうな感じなのだけど。
……動かれなくても、ウズウズしてるのだけど。
しばらくぎゅううと、抱き締められたまま。
四ノ宮は、すり、とオレに頬を寄せてきて。でも、それ以上何も言わない。
「しのみや……?」
「――――最初から? 好きだった? オレとすんの」
オレを抱き締めたまま、四ノ宮が、なんだか熱っぽく囁く。
「キスも?」
ちゅ、と耳元にキスされる。
「……っ……あの時は……オレ、困ってたけど……」
「――――……」
「……うん。困るくらい……嫌じゃなくて……」
「好き、だった? ……オレのキスだけ?」
オレは、少し考えてから。
「……うん。好き、だった」
そう答えてみたけれど、四ノ宮はまた数秒動かない。
と思ったら。ぎゅ、と抱き締めながら、「後で詳しく聞くね」と囁いてくる。
詳しく? と不思議に思っていると、不意に中から抜かれ、くるんと体勢を変えられて、ソファに組み敷かれた。
「……こういう時さ。そういう可愛いこと言うのってさ」
「……っ?」
「ほんと……やばいかなって、何で思わないのかな」
クスクス笑う四ノ宮が覆いかぶさるみたいに、深くキスされる。激しいキスに、頭の中、また真っ白になってる間に、中に挿れられて、深く突き上げられた。
急な感覚に、ひぁ、と変な声が上がって。咄嗟に口を塞いだ手を、四ノ宮が掴んで、手の甲に、ぢゅ、と吸い付いた。
「奏斗――――覚悟して。めちゃくちゃ抱くから」
オレの脚を開いて、四ノ宮がオレを見下ろす。
優しいゆっくりだった雰囲気から一転。色っぽさ最大まで振りきって、熱っぽくオレを見つめてくる瞳に、ゾク、とする……期待だろうか、これは。
四ノ宮の激しいの、めちゃくちゃ気持ちいいの、知ってるから。
「……っあ……!」
腰を掴む、大きな手。
顎を捕らえられて、深くキスが絡む。
荒っぽく、強引にされるのも――――……全部、気持ちいい。
話してる余裕なんかまったく無くなって。
熱くて逞しくて、触れると気持ちいいその背中に、手を回した。
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