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困惑
自分の気持ちを理解するのに時間はかからなかった。
准君を見るだけで、ドキドキするこの気持ちを説明する言葉は、恋いがいないと思った。
けど・・
だけど・・
自分の気持ちは、隠さなきゃダメだと言う事も分かっていた。
だって准君には好きな人がいる。
「ねえ・・准君の好きな人ってさ、どんな人?」
「え!?俺の好きな人・・そ、それは・・」
驚き口籠る彼に俺は、教えてよ!と食い下がった。
男の俺に可能性がない事なんて分かっている。
でも准君が好きになる人がどんな人なのか気になった。
准君は、躊躇っていたが
「俺の好きな人は・・太陽のような人なんだ・・」
そう言って、目を細めながら俺を見た
「太陽?」
「うん。一緒にいるだけで、楽しくてさ・・笑顔も素敵で・・」
「へえ・・」
ズキズキと胸が痛む
好きな人の話をしている准君は、凄く綺麗で幸せそうな顔をしている。
でもその笑顔は直ぐに消えていき
「でも・・その人の周りには・・俺なんかよりふさわしい人が沢山いるから・・俺の恋は叶わないんだよ」
そう言って、悲しそうな顔をした。
「なんだ・・それじゃ、俺と一緒だね・・」
俺もだよ
准君には俺より相応しい人がいる
そもそも、俺じゃ論外だよな
心の中で溜め息をついた。
「そ・・うなの?」
瞬間、准君の目が見開き俺を凝視した
「フフ・・うん・・俺も片思い中だよ・・片思い同士、仲良くしようね!」
「う・・うん・・そうだね」
・
ねえ・・准君
准君の本当の気持ちに気づくには時間が掛かっちゃったけど
でも・・もしかしたらって、そんな淡い期待を感じた時の喜びはね
それこそ地球の裏側まで走り出しそうなほど舞い上がったんだよ?
「・・一緒にいると・・本当に楽しいんだ」
そう言って、准君は俺を見る
「俺もね・・一緒にいると楽しくなる」
でも、俺が言うと准君は悲しそうな顔をするんだ
何で・・何で俺は、言わなかったのかな
あの時、ちゃんと言えばこんな事にはならなかったのかな
准君を抱きしめていれば姉ちゃんの所に行くことは無かったのかな・・
俺の気持ちを知った充は、呆れたように言ったんだ
「あんたたちは、回りくどすぎるよ・・好きなら、言えばよかったんだ」
俺だって言いたかった
でも・・俺も怖かったのかもしれない
俺の勘違いだったら?
もう准君は俺に微笑んでくれなくなる
彼に会えなくなるかもしれない・・と
「バカだよ・・」
充に言われた言葉は・・いつまでも俺の耳に残っている
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