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夕飯

「う~んと・・チャーハンでいっかな~」 野菜は一通り揃っているし あ、ベーコンもあるじゃん! 「よし!」 冷蔵庫から、食材を取り出し振り返った時 「尊・・」 「うわ!!」 目の前に准君が立っていたから、びっくりした。 「・・・ごめ・・ご飯、作ってなかった」 うつむきながら言った。 「良いんだよ!・・急に後ろにいるからびっくりしただけだし」 胸を押さえながら呼吸を整えた。 「・・何作るつもりだったの?」 「え?ああ・・チャーハンだよ!准君も食べるでしょ?」 「・・・うん・・」 准君は、下を向きながら小さく頷いた。 「・・・・?」 なんか・・元気ないな (あ・・聞いても大丈夫かな・・泣いてた理由・・) どうしようかと言葉を探していると 「俺、作るよ・・」 俺の手から野菜を取ろうとするのを慌てて制した。 「え?いいよ!俺が作るから准君は休んでて!」 「いいよ・・俺、何もしてないし・・」 それでも、俺の手から野菜を取り出すとシンクに置いた。 「じゃ、一緒に作ろうか!」 准君の隣に立ち、水を出した。 「え!?・・あ・・うん・・」 横に一歩ずれた准君にドクンっと心臓が鳴った (やっぱり・・なんか変だ・・) 俺から、距離を取ろうとしている もしかして・・ 記憶が戻ったとかじゃないよね? ザワッと肌が泡立つのを感じた。 「あのさ・・尊・・」 「うん?」 (尊って呼んだ・・) 記憶を失う前、准君が俺を名前で呼ぶ事は無かった。 それなら、まだ戻ってないのかな・・ いや、でも記憶が戻っても目が覚めてからの記憶はあるかもしれないし 顔には出てないけど、頭の中は色んな感情でいっぱいだ。 「ど・・うしたの?」 「うん・・さっきさ・・俺に・・」 「え?」 「いや・・何でもない!ゴメン・・何でもないから!」 「え?」 准君の顔がみるみる赤くなっていく。 「ねえ、どうし」 「た・・尊は野菜切って!」 俺の言葉を遮るように言った。 「准君・・顔赤いよ?どうしたの?」 「っ!な・・何でもないって!」 更に顔を赤らめながら言った。 「でも、普通じゃないよ?顔・・赤いし、何かあるなら言ってよ!」 気になって、料理どころじゃない。 記憶が戻ったのなら尚更だ。 「ちょ・・ちょっと・・・」 「ちょっと?」 「・・ちょっと・・変な夢をみただけだから・・」 そう言って自分の口を手で覆った。 (あ・・もしかして・・) 「そっか・・夢を見たのね!」 (もしかして・・キスした時・・目が覚めたのかな!?) 体に緊張が走った。 でも、夢って事になってるなら大丈夫かな

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