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料理
結局、チャーハンは准君が作ってくれた。
「あ・・尊!違うって!油から!」
「え?とりあえずご飯入れちゃって良いんでしょ?一緒に炒めるんだよね?」
俺がフライパンにご飯を入れようとすると横から手を伸ばしてきた。
「だから!違うんだって!ああもう!俺がするから尊はそっち行ってて!」
俺の手からフライパンを奪い取った。
「ええ!?一緒にやる!」
「邪魔なの!!」
あの大きな瞳で睨まれちゃたら、もう何も言えなくなってしまう。
「は~い・・」
大人しくリビングでビール飲むことにした。
冷蔵庫から缶ビールを取り出してリビングのソファに座る。
ここは、対面式のキッチンだからリビングからも准君が料理している姿がカウンター越しに見えた。
(料理してる准君の姿は・・変わらないな・・)
事故の前、准君と仲良くなってから、俺のアパートにたまに来てくれていた。
俺がコンビニ弁当ばかりなんだと言ったらさ、じゃ料理作ってやるよ・・なんて言ってくれて・・
今思えば、あの時の准君は、きっと凄く勇気を振り絞ってくれたんだと思う
顔を赤くして唇も微かに震えていた。
(・・あの時・・もしかしてって思ったんだよな~・・)
バーテンダーしていると、俺を好きになってくれる子もいて、その女の子たちと同じような必死さを感じたんだ。
自意識過剰で俺の願望がそう思わせているのかもしれないと思ったけど
そうだったら良いなって俺も思っていたんだ
「はあ・・」
ソファに座りビールを飲みながら、そんな事を考えていると
「尊、出来たよ~!皿出して」
准君の声にハッ顔を上げた。
「もう~ボーっとしてんなよ」
俺を見て笑う准君に、俺はまた好きが溢れる。
(ああ・・もう大好きだ)
許されるなら、直ぐにでも押し倒したい。
「ゴメンゴメン!」
溢れそうな感情を奥歯を噛み締めて堪え、急いでキッチンに行って皿を取り出した
・
食事のあと、食器は俺が洗った。
その間に准君は風呂に入り
「まだ、ビールある?」
濡れた髪をタオルで吹きながら戻ってきた。
風呂上がりの准君は色気3割増し
いや五割増しだ
俺の横を通り過ぎると石鹸の良い匂いが漂ってくる。
(俺も同じの使ってるのに・・)
准君だと、良い香りになるのは何故だろう。
「・・尊?変な顔してるよ?」
冷蔵庫からビールを取り出し振り返った准君が俺を見てクスクス笑った。
「もう~笑わないでよ!」
「ハハっだって面白いんだもん」
准君がビールを飲んでいる間、今度は俺が風呂に入り
そして
「じゃ・・そろそろ寝る?」
「そうだね・・眠くなってきた」
一緒に寝室に行き、そして同じベッドに入る。
(これも、記憶が戻ったら終わりだよな)
微かに触れる腕に感じる准君の体温
一日の終わりが、こんなに幸せなんて
いつかバチが当たりそうだ。
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