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急な誘い
俺の仕事は、幼児向けの輸入玩具の営業だ。
取引しているデパートや店に行ったり、飛び込みで営業をかけたりもする。
人と話すのは嫌いじゃないし何よりバーテンダーで鍛えられたトークが役にたっていると思う。
成績は悪くない方だ。
車で取引先を回り、昼はコンビニやラーメンだ。
事務仕事が無いのは楽だと思っている。
定時で帰れることも多いし
それに、今は・・
『藤堂さん、彼の様子はどうなんだい?』
「あ、部長・・はい、まだ記憶が戻らなくて・・」
『そうか・・色々辛いと思うけど、支えてあげるんだぞ』
事情を知っている上司は残業できないと言った俺に、気にすることはない、ちゃんと力になってやれと言ってくれた。
部長が言う辛いと、俺の思っている辛いは少し違う。
姉ちゃんが亡くなったのは寂しいし、悲しい
母さんも、きっと今も泣いているだろう。
寂しいけど・・その気持ちは准君の側に居る事で忘れさせてくれる。
(ゴメンな・・姉ちゃん・・)
そんな自分が薄情な気がして何度も心の中で姉ちゃんに謝った。
・
その日は早めに外回りを終えて、一度会社に戻る予定だった。
夕飯は何にしようかと考えながら車に乗り込むと同時に携帯が鳴った。
画面を見ると、相手は准君だ。
急いで画面をタッチして耳に当てる。
「も・・もしもし!?」
もしかして、准君の身に何かあったのかもしれない
「あ、尊?ゴメン、仕事中だよな・・」
准君の声は、切羽詰まったような感じはなく、尊と読んでくれたことに安堵した。
「ううん・、今帰るところだったから・・どうしたの?」
「うん・・今日の夕飯さ、外で食べない?」
(あ・・珍しい・・)
准君から外で食べようと言ってくる事なんて、記憶をなくしてからは無かった。
「良いよ!どうしたの?急に・・」
「ああ・・あのね、今日、病院に行ったらさ、三枝先生・・分かるだろ?カウンセリングの・・」
「うん、准君を診てくれている先生だよね?」
「うん、先生からさ、尊と3人で食事に行きませんかって誘われたんだ」
准君の声はいつになく明るかった。
「へえ・・俺と?」
「尊も会ってみたいって言ってただろ?」
確かに、会いたかった。
会って確かめたかった。
准君の記憶が戻るのかを
「うん、良いよ、3人で食事行こう」
それに、准君に関わる人はどんな人でも知りたかったんだ。
あの時のような事件を起こさせないためにも・・
「じゃ、店の名前と住所メールで送るから!」
「ありがと・・じゃ、後でね」
電話を切って、深く深呼吸をした。
これで、彼がどんな人間なのか、准君に害を及ぼさないか確認できる。
准君は法律事務所で働き始めた潤君は、事務所の先輩に襲われたことがあった
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