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友人の言葉(准)

三枝先生とのランチを終えてマンションに帰ると扉の前に立つ人影があった その人影には見覚えがある。 小柄で、服はチェック柄のシャツとハーフパンツを履き、そして新品とは言えないサンダル 「充!」 友人の白鳥満だ。 俺の声に顔を上げ俺のほうを見ると 「あ!」 短く声を上げた後に嬉しそうに笑みを浮かべ手を振った。 小走りに充のほうへ行き急いでカバンからカギを取り出した。 「充・・いつ来たの!?連絡してくれればいいのに」 「いや、今来た所なんだよ・・いないと思わなかった・・なに?病院?」 本当に「今」来たのだろうか?そう思いながら鍵を開け玄関のドアを開けた 「そうだよ。病院に行っていたんだ」 「ふ~ん・・藤堂さん言ってたんけどさ・・毎日行ってるんだって?」 目を細め、顎を摩りながら俺を見た。 「ああ・・まあ、でも来週から仕事するからさ・・」 なんだか、充の視線が鋭く刺さるような気がした。 (怒ってる?) そう思いながら靴を脱ぎリビングへ向かう。 「・・・・」 充は無言のままサンダルを脱ぎ捨て、廊下を歩く。 ペタペタと足が張り付くような音が聞こえた。 「あ、そうだ!白鳥さんも、後で来るってさ」 「そうなの?俺に連絡来てないな・・じゃあ、夕飯食べていく?カレー作るつもりなんだ」 スマホを開いたが、メールは来ていなかった。 「ん・・そうする」 小さくうなずきソファに座った充を横目に俺はキッチンに向かいヤカンに水を入れてコンロの火にかけた。 「なあ・・」 リビングのほうから充が声を俺を呼んだ。 「うん?」 お湯が沸くまで時間がかかりそうなのでリビングに戻ると充は勝手知ったるって感じでテレビをつけてゲームをしようとしている。 「なに?」 何か言いたいことがあって俺を呼んだんじゃないのか? 首を傾げながら充の隣に座った。するとゲームのコントローラーを弄りながらボソッと言った。 「思い出し始めたんだって?」 ピピっと電子音が鳴りテレビの画面にゲームの映像が流れる 「・・うん・・って言ってもさ、尊が磨り胡麻好きだった事だけなんだけどね」 「磨り胡麻?」 「なんか、買い物していたら・・何となく買わなきゃって思ったんだ」 尊の好物を知るぐらい、以前の自分と尊は仲が良かったという事なんだと思った。 「准君、藤堂さんの家に泊まる事も多かったもんね」 「え?」 ドキッとして充の顔を凝視した。 「・・まあ、何も思い出していないなら、混乱させるから話すのもどうかと思ったんだけど・・色々戻ってきているなら・・ね?」 そう言って横目で俺を見る。 「それは・・あの・・尊と一緒に住んでいたってこと?」 「いや、住んではいないよ・・仲が良かったんだよ」 小さく首を振りながらゲームを始めた。 「そうか・・」 「学生時代はさ、藤堂さんの所だとエアコンもきいてるからってね、夏の間勉強にしに行ってたみたいだよ?」 「へえ・・そうなんだ・・」 大学時代に、勉強しに行くぐらいの仲だったのか・・ 「准君の住んでるアパートはボロボロだったからね」 ふう・・と小さく息を吐きながら、コントローラーを動かしている。 指の動きが速くてカチャカチャと音が部屋に響く 「ねえ・・その時ってさ」 尊のお姉さんとも知り合っていたのかと聞こうとした時 ピ――――っと沸騰したヤカンが音を鳴らした 「お湯、沸いたみたいだよ?」 「あ・・・うん」 急いでキッチンに戻り、火を止めた 「はあ・・」 胸の奥がモヤモヤする

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