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第5話 あの日の後〜和麻目線〜
冬麻が助けてくれてから1週間が経つ。
俺と言っていた一人称も僕に変わり、甘やかしていた性格も少し甘える性格に変わっていた。
「 和麻、メシだって 食わせてやる 」
「 …うん、ありがとう」
ベッドに横になりぼーっとしていると冬麻に声をかけられ、返事をする。
正直あの事があってから食事は苦手だ。
「 和麻、お粥なら食いやすいだろ ? 作ってもらった 」
「 ん…ありがとう 」
ゆっくりと体を起こし、ベッドに寄りかかっていると冬麻がベッドに座り、お粥を食べさせてくれて。
だが1口食べると気持ち悪くなってしまい慌ててゴミ箱を抱えて吐いてしまった。
すると自然と僕の口からはそう零れ落ちた。
「 ……め、なさッ…ごめん、なさッ…!」
怒られると思えばすぐに怖くなり何度も謝り続けてしまった。
僕はメンタルがやられてしまい壊れてしまったんだ。
でも冬麻は優しく微笑みながら
「 和麻、誰も責めてないだろ ? 大丈夫 。ゆっくり食べよう、な ?」
といつも言ってくれる。
僕はそんな冬麻に支えられて生きてきたんだ。
__
また時が過ぎ気がつけば2ヶ月が経っていた。
ずっと部屋に引き篭っていた僕は冬麻と外に出かけることになった。
自然と冬麻が手を繋いでくれるからその手を嬉しそうに優しく握り返しつつその辺を散歩することにして。
だがすれ違う人全ての人が冷たい目で見られているように感じて、僕は耐えきれなくなった。
「 …は、ぁッ……ッ 」
「 和麻 、ちょっと休憩するか 」
過呼吸を起こしていることにすぐに気がついた冬麻は優しくそう言いつつ僕の手を引くように公園へと歩いて行った。
ベンチに座ると冬麻は迷うことなく僕を冬麻の胸の中に納めた。
「 和麻 、大丈夫 何かあったら俺が守るから。堂々としてていいんだよ 」
その優しい言葉に安心した僕は落ち着きを取り戻すが冬麻から離れようとはしなかった。
「 今日は帰るか 外に出ただけまだ気分違うだろ ? 」
無理させないようにいつも冬麻は僕に気を遣ってくれている。
その言葉に甘えるようにその日は家に帰ったのだった。
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