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第6話 デート〜冬麻目線〜
話は食事後に戻る。
俺達がバーテンダーとして仕事をしているが今日は休み。
「 和麻、暇ならデートでもする ? 」
最近仕事で忙しかったから和麻とゆっくり遊ぶ時間がなかった。和麻の体調も良さそうだしきっといいと言ってくれるだろうと思って切り出した話だ。
「 デート ? 冬麻が行きたいなら行こ ? 」
と和麻からのOKがでた。やはり直接いいと言って貰えると嬉しい。
「 じゃあ水族館でも行くか 」
「 水族館 !? 行く行く!ペンギン見たい!」
水族館ぐらいで喜んでくれるのだから嬉しい。
立ち上がれば和麻の元に行き頭を撫でてから着替えるために自室に向かって。和麻も浮かれながら水族館に向かう準備をし始めたのだった。
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車で数時間運転すると水族館に着いた。和麻は大喜びしながら魚を見ていた。
「 わぁ!冬麻、見て見て!あの魚大きいね!」
「 こら、はしゃぐな あぶねぇだろ 」
「 大丈夫、僕ちゃんと冬麻と手繋いでるし 」
大丈夫なんて言っているが此奴の大丈夫は信用出来ない。大丈夫じゃなくてもそういうのだからな。だが楽しそうにしているところを見るとこっちまで楽しくなる。
「 あれ美味そう 」
「 ちょっ!冬麻!美味しそうなんて魚さんに失礼でしょ ?」
「 いやお前もよく彼奴ら調理するだろうが 」
「 水族館の魚は別だもん 」
そんな話をしているとそういえば和麻がここに来る前ペンギンを見たいとか言ってたようなと思えばそっちに行くかと思い地図案内を見て。
「 ペンギン、あっちにいるみたいだぞ、行くか ? 」
「 うん!行く!」
地図を見て覚えたのか優しく手を握り直し、また歩き出してはペンギンがいる場所には向かった。
「…わぁ、ペンギン可愛い…」
ペンギンがいる場所に行くと目を輝かせてそっちを見ている和麻にほんと子供っぽいなと少しクスッと笑って。
「 あ、今笑ったでしょ ? 」
「 笑ってねぇよ 」
「 いや、絶対笑ったね!」
と楽しそうに会話はしているが俺から離れようとはしない。
だから手を引いてペンギンの近くに行くと先程よりも子供のように目を輝かせて「 可愛い ー !みんないい子だね 」とペンギンに夢中なので少し寂しくなった俺は和麻の後ろに回り、後ろから抱き締めた。
「 なぁ、俺より此奴らの方がいいの ? 」
態とらしく寂しそうに和麻の耳元で囁くとすぐに耳が赤くなった。耳が弱くて可愛いやつだと思いつつも続けるように
「 和麻、俺の事放置してるんだから後で責任取って貰うからな 」
と囁いた後そっと和麻の後ろから離れては定位置である横に行けばまた手を繋いだ。意地悪し過ぎぐらいが丁度いい。和麻は俯き顔を赤く染めながら「…分かった」と呟いた。この反応にきゅんとするが俺は表情には出さなかった。
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