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第7夜 願いを叶えるシステム

妙なアイテムを買ってしまった。 路上に品物を広げる外国人の露天商から。 露天商はこういった。 「コレハアナタノ願イガナンデモ叶ウシロモノデス。コレヲ握ッテ願イヲ唱エテミテクダサイ。500エンデス」 冷やかし半分で財布から五百円玉を取り出し、引き換えに長い像のようなものを渡された。 ステッキのような。 石で出来た30㎝程度の握りしめられる。 異国の地に刺さっているトーテムポールのような紋様。 家に帰り自分の部屋に入ると、馬鹿馬鹿しいと思いつつ、そいつを握りしめて願いを口に出してみた。 「金が50万円欲しい!」 明確な設定値付きで。 次の日、俺は満員電車に乗っていると、後ろから尻を触られ、色々と抵抗を試みるも、卑劣な行為は段々とエスカレートし、とうとう背後から男の痴漢に犯されてしまった。 犯されてグッタリした俺を尻目に、痴漢は逃げようとするが、ホームに降りたった途端、鉄道職員数人に囲まれて、俺と共に事務室のような場所に連れて行かれた。 痴漢は土下座し懇願して、お金を払うからここで示談にしてくれぇ!!とまだ警察も呼んでないのに泣きながら頼み込んできた。 財布の中のお金全部やる、と ゴッソリ厚みのある束を渡された。 50万円ある、と。 お金持ちの痴漢に渡されたお金を鞄の中に持ち俺はフラフラ呆然と歩いていた。 学校に行かずそのままUターンして家に帰ると、机の引き出しにしまってある昨日のあのアイテムを取り出し眺めた。 まさか……これって……。 もう一度俺はステッキを握りしめ願いを唱えてみた。 「こ、子供の頃憧れていた仮面ライダーと、握手したい……」 両親の出払った俺一人しかいないこの一軒家に、突然一階の風呂場あたりからバリーンとガラスをぶち破る音が聞こえた。 なんだと慌てて階段を降りると、そこには仮面ライダーのお面を顔にかけ、構えた銃を手に持ったTシャツ姿の男が家の中にいた。 つけっぱなしの台所のテレビからは 「銀行強盗が◯◯市内を逃走しております。銀行強盗が◯◯市内を逃走中」 と冷静なアナウンサーの声が繰り返し流れた。 俺は振り向いて玄関まで逃げようとするも、背後から腕を掴まれて、強盗の仮面ライダーに押し倒され、手のひらをギュッと強盗の手で掴まれながら、ひっくり返され仰向けにされた。 「どうせ捕まるのも時間の問題だ!塀の中じゃご無沙汰になるからな!捕まる前にここで好きにやっておく!」 強盗は乱暴に言い放ち、俺は呆気なく犯されてしまった。 強盗の立ち去った後の家の中で俺は呆然と座り込んでいた。 …………そういう、システム………………? どうやら、願いを一つ叶えてもらう度に、俺は一回犯されるらしかった。 このステッキらしきアイテムの正体をパソコンで調べてみると、これとまったく同じ形状の画像に辿り着いた。 「古代のローマの暴君王が使っていた張型(ディルド)」 と画像下に説明表記されていた。 「ひ~っ!!気持ち悪っ!!」 思わず手を離し曰くのアイテムを床に落としてしまった。 これ願いを叶えるアイテムというより 「呪いのアイテム」なんじゃないの? 明日これを川にでも流してしまおうと決めた。 その晩、寝ていると誰かのヒソヒソ声が聞こえた。 「捨てるだ?フザケンなガキ」 「せっかく手に入れといて世迷い言抜かしとんじゃねえよ」 「何が川だコラ」 目覚めるとベッドの上にどう見ても古代の王族がいた。 「どーもー、暴君でーす」 王は手に呪いのステッキを持つ。 「せっかく手に入れたんだからもっと有効活用してみせろや、例えばこんな風に」 王はステッキを正しく張型として俺の体に使ってきやがった。 願いを叶えるシステム   終

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