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第11夜 未来の結婚相手

夜の2時に水鏡を見つめると未来の結婚相手が見えるまじないというものがある。 クラスの女子達がこぞって如何にもやるようなこのまじないを、何でか男の俺はこうして真夜中一人自分の部屋でチャレンジしている。 未来の結婚相手に興味があるからだ。 こう見えて結婚願望は強く、素敵な美しい女性と出会って、いつか幸せな家庭を築きたいと夢見ている。 俺は用意した丸い器に水を張り 呪文を唱え ひたすら未来の結婚相手の顔が浮かんでくるまで待った。 次第にぼやぁ~っと、水底が揺らめいて何かが白く浮かんできた。 きちんと人の顔になったそれは 男の顔だ。 どう見ても男だ。 短髪で顎の青みは濃く、エルビスプレスリーのような、ゴツい男の顔が浮かんできた。 俺は悲鳴をあげて飛びのいた。 ゲイでも無いのに何で男の顔が結婚相手に浮かぶんだよ!? 日を置いて試してみた。 次にやっても同じ男の顔が浮かんできた。 その次にやっても同じ男の顔が浮かんできた。 俺は重苦しい巨大なため息をついた。 「何でなんだよぉ~~~っ!! 未来の俺はゲイになっちゃうのかよお~!!」 頭を抱えていると水底の顔の口元が水面に揺れ動き出し急に言葉をかけてきて喋った。 「おい、いつまでこうして待っていればいいんだ?早く願い事を言えよ」 「は?」 ザバァっと水飛沫をあげて、洗面器サイズの小さな丸皿からいきなり背の高いゴツい男が胸毛を露に全身飛び出して立っていた。 「呼び出し続けて一向に願い事を告げない、迷惑な召喚者め」 「あ、あんた、だれだ?」 「俺はダンディな悪魔だ」 「悪魔なんか呼び出した覚えはない」 俺はどこをどっか間違えて、未来の結婚相手を見るまじないから悪魔を召喚する術を行なってしまっていたらしかった。 「俺は……ただ結婚相手を」 「願いはそれか。そっか。では折角だからじゃあこのダンディな悪魔の俺がおまえの結婚相手になってやる」 言うなり、悪魔は俺をお姫抱っこして抱え、近くに据え置きのベッドに運び込んだ。 こうして呼び出した顔の悪魔は本当に俺の結婚相手になってしまった。 未来の結婚相手     終

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