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第6話

子供は中学生になった。 なにも変わらない。 男と暮らし、発情したら抱かれる。 でも、子供の身体は大人に近づき、発情期じゃ無くても男を惹き付けるようになってしまった。 発情期には抱いているからなおさらだ。 でも、耐える。 すっかり育って、熟れた乳首を風呂上がりにみてしまっても、揉みしだき柔らかになった尻をスボンの向こうに見てしまっても、耐える。 恋を知らずに行為だけ覚えてしまった子どもは、発情期にだけするものだと思いこんで、男には無邪気な信頼をみせてくる。 男は耐えた。 子供には自分との未来しかないのだ。 これは自分のモノ。 だからもう少し。 せめて。 発情期以外で、抱くのなら結婚出来る年齢になってからで。 発情期には散々抱き潰しておいて何なのかとも思うが。 子供を子供にさせてやりたかったのだ。 子供は無邪気に質問するから、自慰の仕方までは教えたけれど。 発情期以外の欲望を紛らわせる方法を。 そのために自分の衣服を与えた。 その匂いで自慰をするのがオメガだと昔の恋人との生活から知っていたから。 子供の手をとり、穴の虐め方を教えた。 子供は素直に乱れるから、あと少しで抱いてしまいそうになった。 穴は発情期じゃ無くても簡単に濡れて、子供の指と自分の指を濡らして締め付けたのだった。 子供は発情期じゃないから、恥ずかしがるのがかえってあおられてしまった。 笑顔を作りながら耐えた。 大人の痩せ我慢をした。 前の性器ではなく、穴だけでイクように教えたのは、だってこれは自分のオメガだからだ。 ここで自分のモノでいくためだけにオメガはいる。 そう思っていたからだった。 だから耐えられた。 美味そうな身体が目の前にあっても。 子供の様子がおかしくなったのは、新しい学年にあがってからだ。 高校になっても毎日の送り迎えは当然してる。 アルファらしく自分で会社を持っている男は、好きな時に好きなように動けるからだ。 部活動が終わってから迎えに行くし、なんなら、部活の後の子供達とファストフードの店で、騒ぐことも許してた。 その後必ず迎えに行くとしても。 オメガを守るのはアルファの役目だ。 番のいるオメガだからこそ、子供、いや大人になりかけた少年は今の高校に通うことを許されていた。 番のいるオメガは発情で他のアルファを危険に曝さないし、ベータ達も動揺させない。 本来、オメガなら、オメガ用の高校生に通うものなのだ。 子供はオメガが行くような高校は嫌がった。 普通でいたがったのだ。 番のいるオメガなら発情は周期が安定しているし、他人を巻き込むこともない。 だから、特別に許された。 もちろん、男がアルファらしくそのために権力も使ったのもあるけれど。 首筋の痕等から、オメガであることを知られたところで、番のアルファがいるオメガに手を出すアルファもベータもいない。 アルファは自分のオメガに手を出すことを許さない。 そして、アルファとは地位と権力を持つものがほとんどだからだ。 美しく育ったオメガをアルファの少年たちはいつか自分もあんなオメガを、と思い、ベータ達は憧れるだけで。 距離を置かれることを少年は悲しんではいたけれど、それは仕方ないことだと男は思っていた。 でも番がいることが、同じ年頃のオメガの少年達より少年は自由に動くことはできた。 でも、そんな少年にも友だちはできて。 女の子達が多かったが男の子も少しいた。 そんな友達を家にも連れてこさせた。 そして、男は高校生達相手に自分を見せつけた。 強いアルファであることを。 この男のオメガに手を出すなと言う意味で。 女の子たちは男を見てきゃあきゃあ叫び、男の子達は青ざめた。 大人げないが、仕方ない。 少年は男のオメガなのだから。 そんな感じで上手く行っていたのに、少年の様子がおかしくなってしまったのだった。 どこか気もそぞろで、ボンヤリして。 ため息をついたり、考えこんだり。 発情したらアルファのモノに狂うことはなにも変わらなかったけれど。 理由はすぐにわかった。 送り、迎えに行く時に、ソイツは少年の隣りにいるようになった。 ・・・そのガキは。 ベータの少年だった。 同じクラス、同じ部活なのだと少年は嬉しそうに男に話した 家にも連れてきた。 最初から気に入らなかった。 それまでのアルファやベータの男の子達が、コソコソと少年に目をやるのとは違った。 まるで当たり前であるかのように少年に寄り添っていた。 その隣りが自分のものであるかのように。 その首筋の傷痕の意味もわかっているはずなのに。 そして自分のオメガは安らぐようにその少年の隣りにいた。 二人はあまり話さない。 ただ、寄り添うようにいて、たまに言葉を交わすだけ。 それが逆に気になった。 「親友なんだ」 オメガはそう言って、そのガキの話をする時笑った。 そのガキの話を良くした。 他愛ない話だったが、気に入らなかった。 常に自分のオメガの心にそのガキがいることが。 だが、まあ。 ガマンした。 笑顔を浮かべて。 ベータのガキが、自分のオメガをどうすることも出来ない。 高校を卒業したなら、名実共にオメガは自分のパートナーになる。 毎日抱いて、自分のことしか考えさせない。 アルファは優秀で。 そして孤独だ。 アルファには全てのアルファが敵だから。 オメガだけが、アルファの孤独をいやすのだ。 子供から育てた。 やっと、やっと、オメガを手に入れる。 長く耐えたのだった。 後少し。 なのに、その夜、オメガが自慰をしていた。 自慰をしていたのは知ってた。 まだ発情期以外ではセックスはしないものと思い込んでいるオメガに自慰を教えたのは自分だからだ。 若い身体は発情期以外でも欲しくなる。 奥深くまで教えこまれているなら、なおさら。 抱かなかったのは、オメガでいるのを嫌がる子供を思っての、理性としての痩せ我慢をしていたのもあるが、焦らしていたのもある。 我慢させてから与えたなら、オメガはその日どんなに狂うだろうかと。 自分の衣服を与えていた。 オメガはアルファの匂いがあって達することが出来るのだ。 番がいないオメガや、番にされてもアルファが死んだり、何かしらの理由でアルファがいないオメガにとって発情期は苦しいだけのものだ。 番がいないだけなら、オメガはどんなアルファであろうと抱かれたなら落ち着くことが出来るが、番にされてその番とセックスできないオメガは、発情期が終わるまで苦しみ続けるだけだ。 抑制剤はフェロモンを抑える効果しかなく、睡眠薬や鎮静剤で意識を奪い鈍らせ眠らせる以外に耐える方法はない。 だから、発情を迎えたならオメガは番になるかならないかは別として、とにかくアルファを求めるのだ。 噛まれるのを防止するための首輪をつけて。 オメガの恋人を抱いてきたから知っている。 最近はアルファもオメガもすぐには番にしないのが風潮だ。 互いに試しあって、それから番になる。 番のいるアルファはオメガに避けられるのはもちろん当然で。 それでも、自分位のアルファになれば、番がいてもオメガは脚を開く。 番になれなくても、どうせ抱かれるならより良いアルファがいい。 発情期をこえるためには抱けれなければ辛いからだ。 だから番を得てからも、まだ幼い自分のオメガの代わりに、番のいないオメガを抱いて楽しみもしてきたのだ。 アルファ無しでは達することができないのがオメガなのだ。 だから自分の衣服に顔を埋めて、自慰をしている自分のオメガを見た事は何度もあったし、それを教えたのは自分なのだ。 なにも分からない自分のオメガは、それをおしえてくれたアルファの前で自慰をすることにも抵抗がなかったりもする。 発情期には穴まで舐められている相手なのだし。 見つかることも気にせず、声を上げて自慰に狂うオメガはとても可愛い。 だが、その日、オメガはこっそり声を殺して自慰をしていた。 かくれるように。 いつものような飢えをむさぼるのではなく、まるで耐えるかのように。 欲しすぎて、いつもなら噛んで舐めるように使うアルファの服を、できるだけ使わないようにしようとしているのもいつもと違った。 でも、達っするためには必要なのだ。 番の匂いが。 その自慰は切なげで。 苦しげで。 オメガは泣いていた。 いつもの感じすぎて泣く泣き方ではなく、胸の痛みに泣いていて。 穴でイクことしかおしえていないから、指で深く自分で自分を犯しながら。 いつものなら我慢することを知らない声で、淫らに感じてさけぶのに、切なく声を殺して喘いで。 そんなオメガは初めて見た。 見つからないようにしているのも、初めてで。 思わずそのまま見つめてしまった。 その理由が、達っするために自分の服に顔を埋めたくせに、小さく思わず漏らした名前のせいだとわかったとき、怒りでめまいがした。 しつこく自分の指で、教えられた通りにそこを虐めながら、顔をアルファの服に埋めながら、オメガは、オメガは。 ベータの少年の名前を呼んでいたのだった。 掠れる小さな声で。 実際にはオメガをイカせることなど出来ないベータのガキの名前を。 オレの。 オレのオメガなのに。 それは許せるものではなかった。 アルファだからこそ。

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