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第7話

刃 side 俺は風呂上がりのひなを寝室に置いて、部屋を出た。 可愛すぎるだろ。風呂場でも襲ってしまいそうになりながらなんとか自分の息子と戦っていた。自分の股間が窮屈になっていたけど、悟られずになんとか乗り切れた。 あれは危ない。非常に危ない子だ。 今まで無事だったのが不思議なぐらいの色気を無自覚に振る舞ってる。 しばらく手を出さないで様子を見る予定が、早くも崩れ落ちそうな予感に危機感を抱く。 はぁ・・・こんなんでへこたれるな俺。 そういえば、さっき携帯に旭から連絡があった。 どうやらひなに関して少し情報がわかったらしい。リビングにて待機しているとのことだった。 廊下を出るとそこには旭ともう1人いた。双子の翔(かける)だ。 「で、何がわかった」 「夜分遅くに申し訳ございません。まだ細かいところまではわからないんですが、かなり妙なので若のご判断を仰ぎたいと思いまして」 「そそ〜突っつけば突っつくほど出てくるかと思えば、途端に何も出なくなったりするんですよ〜おかしいんっすよ」 この軽〜い感じに喋っているのが翔だ。旭は黒く伸ばしている髪を後ろにひとつに結んでいるが、翔の髪型は黒髪マッシュだ。旭は堅苦しいほど敬語を使うが、翔は軽い、常にどっかに伸ばし棒が入っている。2人は一卵性双子、顔は瓜二つなのに、性格が真逆だ、まぁ、それがまたいいバランスを保っているのだが。 それにしてもこの2人が妙だということは、相当おかしいんだろう。覚悟を決めたほうがいいな。 「何がおかしいんだ」 「まず、陽太様ですが、警察の方の履歴を見てみますと、昔小学校2年生の時にキャンプ場で行方不明になったので捜索願が出されていました。警察総動員で捜索が始まり、15時間後に保護されたそうです。発見された時には意識不明、全身にあざと体液がかかっていて、裂傷など色々ボロボロの状態で見つかっています。犯人は釘又修三、彼は捕まり、投獄されていて、今年釈放予定だったんですが、獄中死しています。死因は不明とされています。陽太様が遭ってしまったこの事件は資料を読んでいるだけでも痛ましいものでした。でもそのほかにも痴漢や未遂事件もかなりありました。辿っていくとその犯人たち全員が何かしらの事故に遭ったり、自殺したりなどしていて・・・確認できる限り1人も生きていません」 「1人もか?」 「はい、1人もです」 「しかもね〜陽太様の家もやっぱり妙なんだよ。お母さんの櫻子さんと父親の潤さんは陽太様が産まれる1ヶ月前に結婚してるんだって〜これだけ見ればただのデキ婚に見えるけど、櫻子さん元ピークのナンバーワンらしいよ〜」 「は?ピークの?」 「そ、ちゃんと裏取ってあるからたしかな情報なはずだよ〜」 ピークと言えば会員制の超高級風俗。お客さんは政治家から大企業の社長、財界人がよく通っているお店だ。招待されなければ入れないお店だ。あそこのナンバーワンとは・・・ 「その櫻子と潤はどう知り合ったんだ。ピークのナンバーワンなんて何処も引っ張りだこだろ。なんで一般人と結婚してるんだ?」 「それがよくわからないんです。でもピークの方を調べたら櫻子は多大な借金を抱えてたみたいです。総額5億。お店を辞める際に一括で支払ったみたいです」 「辞める際っていうのは妊娠したからか?」 「時期的に恐らくそうでしょう」 「陽太は客の子供か?」 「可能性は高いですね」 「残りの借金を口止め料として支払われたか」 「ありえるっすねぇ〜でも口止め料払うぐらいなのに、あんな過保護になりますかね?」 「陽太様に仕込まれていたGPSはどれも高性能のものでした。警察の方に確認しても捜索願は出されていないみたいです。妙ですよね。陽太様の話によるとお母様は過保護だったということになりますけど捜索願は出されていない。ということは確実に第三者がバックにいますね。もう少し当時のピークの客の出入りと5億が何処から来たのか調べます」 「あぁ・・・そうしてくれ」 「いやぁ〜若、それにしても変わった子拾ってきちゃいましたねぇ」 「本当ですね。まぁ、美人なのは認めます」 「えぇ〜俺も早く会いたいな。そんな美人?」 「あぁ・・・物凄い美人だ。俺好みの」 「あんなに好みにうるさい若が惚れ込むほどの美貌とは・・・絶世の美人じゃないっすか。早く会わせてくださいよ〜ってか護衛はどうするんっすか?」 「細川に専属の護衛になって貰うつもりだ」 「あぁ・・・細川なら安心ですね。ですが若、陽太様はまだ未成年です。しかも高校3年生という大事な時期です。このまま閉じ込めるおつもりですか?」 「いや・・・本人がどうしたいか聞いてからだな。学校に行きたいっていうのであれば蓬莱高校に入学させる。外に出たくないと言えば通信制でもいいだろう。大学も本人次第だ。そこまで縛るつもりはない・・・はずだ」 「情けないですね、最後ははっきりと言い切ってください」 「うわぁ〜若が優柔不断になってるぅ〜明日地震でもくるんじゃね?」 「とりあえず2人は早急にひなのバックに誰がついているのか調べ上げろ。俺の手に負えるやつだといいんだが・・・明日は家を空ける。細川を朝一でここに待機させてくれ」 「かしこまりました、何か分かり次第すぐご連絡いたします」 「あぁ、よろしく」 「では失礼させていただきます」 「若おやすみ〜」 2人はすぐにリビングを出て玄関に向かった。 はぁ・・・色々と腑に落ちないが、これはあいつらを信用して情報を集めなきゃいけない。 俺はひなをどうしたいんだろうか。 今まで家に部下以外入れたこともないのに、ましてや寝室なんて、自分以外がいると思うと鳥肌が立つぐらいダメなのに・・・不思議とひなにはそこにいて欲しいと思った。 とりあえず早く風呂入って、ひなの隣で寝よう。 俺は重い足取りで風呂場へと向かった。

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