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第23話

「ねぇ、いつまで私こんなことしてなきゃいけないの?!?!」 「あいつの所為で!確かにあいつがいたからどうにかなったけど、お陰で裏では散々な目に遭ってるのよ!!!」 「早く大人になってこの家から出て行って欲しい。そしたら皆んなで邪魔されずに幸せに暮らせるのに・・・」 「あともう少しの我慢だよ、櫻子。あと本当少しだから・・・」 なんで、何でそんなこと言うの・・・普段はクソみたいに束縛してくるのに・・・裏では散々僕のこと貶して、邪魔者扱いだよ。 確かに今までもこの容姿のせいで色々トラブルはあったけど、しょうがないだろ。僕が望んで起こしたトラブルなんてない。 なんで・・・何のために僕のこと産んだの? ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「〜っ〜〜〜!ひーな〜!起きて」 身体が揺さぶられて、漸く気づいた。 「んっ・・・おはよ・・・」 「おはよ、今日もかわいいね。チュッ」 寝起きの僕の頬にキスをする。 「もう・・・出るの?」 「んー、今日はひな連れて行こうかなって思ってさ」 「連れてく?」 「事務所まで」 それってあれですか極道的な事務所かな? 「いいの?」 「うん、一回紹介したいから。だから準備しておいで、服はこれ着てね」 「ん・・・すぐ準備する」 僕は急いで洗面所に行って身支度を始めた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 刃side 「若様、いいのですか?」 「あぁ、まぁ、遅かれ早かれ行くことにはなっただろ」 「ですが、まだ色々とわかっていない状態で無闇に連れ回すのは陽太様にとって危険ではないでしょうか?」 「それも考えたんだがな、バックに居るのが誰か分からなくてな。炙り出す為にも暫く連れて歩くかってなったんだ」 「それは陽太様をイロとして紹介すると言うことですか?」 「あぁ、今のところそれがベストだろ。確かに余計な邪魔は入りそうだが・・・ひなから絶対に目を離すなよ。何があるか分からない」 「はい、かしこまりました」 「俺の杞憂だといいんだがな・・・ひなのバックにはやばいのが居そうだ」 「・・・・・・」 あの後旭と翔が徹底的に調べたが、中々尻尾が出ない。 母親の携帯などをハッキングしたが、気になる電話番号に何度も掛けたり、着信の履歴が残っているが、相手の携帯の電源が入っていないので場所が掴めない。家を調べさせたが、家族は行方不明届を出すどころか、いつにも増して仲良く暮らしているそうだ。 学校には療養のため祖父母が住んでいる田舎に引っ越したということになっているらしい。 おかしい。 確か束縛がひどい母親だったと聞いてはいたが、それにもかかわらず、居なくなったらパニックになるどころか、元気になったらしい。 どういうことなのか・・・家は相変わらず監視を入れているが、中々思ったような成果はなく。追跡アプリの方も相手側の足取りが掴めないそうだ。 こんなに八方塞がりなことあるか? 当時のピークの顧客情報なども何とか伝手で仕入れているが、機密性の高さが売りの風俗店の情報網はかなりなもので、陽太の父親であろう人物が絞りきれていないのが現状だ。 こちらが動いたことで、向こうが何かしらの反応をしてくれたらラッキーだと思っているが・・・警察沙汰になっても大変だ。 相手側の正体がわかり、交渉できればベストだが、暫くは危ない橋を渡ることになりそうだ。 「お待たせ・・・」 今日は白のTシャツにベージュのカーディガン、黒い細身のズボンというシンプルな格好。可愛い。 さて、今日も頑張りますか。 「待ってないよ、相変わらずかわいいね。朝ごはんは事務所の方で用意してるからそれまで我慢できる?」 「ん・・・大丈夫」 「あとこれだけは絶対に守って。俺または細川の側を絶対に離れない。自分を第一に考えること。やばいと思ったら隠れてもいいし、助けを求めてもいい。色々と物騒だし、申し訳ないんだけど、ひなの安全のためには1人で行動させることはできないんだ」 「ん・・・大丈夫。2人のそばを離れない」 「あぁ、そうしてくれ。まだひなの家のバックに誰がついているのか検討がついていないんだ。組の方も今ゴタついてるから。怖い事言うようだけど用心するに越したことはないから」 「ん・・・気をつける」 「じゃぁ行こう」 ひなの腰を支えつつマンションを降りて車へ向かった。 黒塗りの車の後部座席に乗り込む。 「ひな、最初に聞けばよかったけど、身体の方の調子はどう?大丈夫?」 普通に歩けてたから大丈夫そうだったけど、一応念のために聞く。すると少し顔を赤らめながら、 「ちょっと違和感あるけど大丈夫」 といい、目線を逸らされた。 いや、危ない。思わず自分の息子が若干反応したぞ。 「じゃぁ、これからも慣れて行こうね」 「んっ」 ひなはその後、僕の手を握りながら静かに車の外の景色を見ていた。 今ひなは何を考えているんだろう?こんな細くて綺麗な身体、整った顔で今までどんな思いをしてきたんだろう。流石にそこは完全にわかってあげることはできない。 でも、それでも俺の側に置きたいんだ。そばを離れないでくれ、ひな。

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