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第24話

うーん、なんか彼にやけに見られてるけど。 はっ!もしかして目やにとかついてたかな?一応ちゃんと顔も洗って歯も磨いて保湿もしてきたのに。 ちょっと気になって顔をいじってしまう。 んー、いや、なんかついてるみたいじゃないな。とりあえずやる事ないし、窓の外見ておこ。 中々車で移動する事なかったからなぁ、なんかすごい都会を走ってるみたいで、何とも言えない不思議な感覚に陥る。 昨夜はやな夢見たなぁ。 まぁ、実際に聞いた事だから妄想とかではないけど、たまにあんな感じで夢に出てきては、再度自分の立ち位置を理解させられる。 束縛の激しい母親だったのに、心の底では僕を邪魔者扱いする。だからこそ自分はいなくなった方がいい、死んだ方がマシだと思っていたけど。 改めて家から離れてみれば、何で僕は家の中であんな扱いだったんだろう?と疑問に思う。 彼がいうには後ろに誰がいるかわかんないって言ってた。僕の記憶の中にヒントはないのか・・・頑張って考えてみようと思う。 暫く記憶を辿っていると、車が止まった。 彼のエスコートで車を降りると、そこには7階建のビルがあった。 「「「ご苦労様です!!!!!!」」」 大っきい声にびっくりして思わず彼の腕にしがみついたけど、ビルの前に10人ぐらいの黒いスーツを着た男性達がお出迎えにきっちり並んでいた。 「お前ら声がデカい。周りに迷惑だ」 「「「すみませんでした!」」」 さっきよりかは押さえ気味な返事が返ってきた。 「ごめん、驚かせたか?」 「ううん。大丈夫」 「おいで、中案内する」 僕はそのまま彼の腕に腕を絡ませた状態で、一緒にビルの玄関へと向かった。 どうやら彼の個人オフィスは5階にあるようだ。エレベーターに乗って着くと、そこは家の趣味と似たようなモダンな感じなお部屋だった。 革張りのソファー、大っきい社長机的なやつに、奥にはさらにお部屋があるみたいだ。 「お腹空いたでしょ。今用意させるね」 「ん、ありがと」 「コーヒー飲める?」 「ううん・・・コーヒーは頭痛くなる・・・あればミルクティー欲しいかな・・・あるかな?」 「大丈夫、用意させるから。ひな、おいで、座ろう」 ソファーに座った彼の膝に自然と横座りで座る。 なんかここ、雰囲気がピリついてる気がする。居心地が悪くて思わず彼の肩にグリグリと頭を擦り付けた。 「どうした?嫌になっちゃった?」 「ううん・・・大丈夫」 「よしよし、ごめんな。ここ最近雰囲気悪くてな。ただでさえ極道の事務所なんて怖いのに、ごめんな。慣れたらそう怖いところじゃないから」 大きな手で包み込まれるように抱っこされれば、もう18なのに落ち着く。ここは安全だと言われているみたいで、安心する。 コンコンコン ノック音の後にスミが入ってきた。 「失礼します。朝ごはんのご用意出来ましたので、テーブルの上に並べさせていただきます」 すると瞬く間にモーニングセットが出来上がった。 「美味しそう・・・」 「ありがとうございます。ごゆっくりお召し上がりください。後若様、旭と翔が食事中にお邪魔しても宜しいかと」 「あぁ、大丈夫だ」 「では後ほど呼んでまいります」 スミは一旦部屋から下がった。 「ひな、食事しながらでいいんだが、もし旭と翔に何か聞かれたらわかる範囲で答えてあげてくれ」 「ん。わかった」 「いい子だ。何から食べる?トースト?スクランブルエッグ?サラダ?それともソーセージ?」 「じゃぁ・・・サラダから・・・」 ちゃんと僕が咀嚼して飲み込んだ後タイミングよく次の食べ物がくる。ちゃんと定期的に飲み物も挟んでくれるから、快適すぎて怖い。 半分ぐらい食べたところで再度ドアがノックされ、 入ってきたのは初日に会ったことのある旭さん?とおんなじ顔したもう1人の男の人だった。 「陽太様、お久しぶりでございます。旭です」 「初めましてだよね〜俺翔、旭の双子の弟だよ〜よろしくね〜ってか改めて見るとめっちゃ美人じゃん。そりゃ若ドストライクだね〜うひゃぁ、肌とかツルッツルじゃん、同じ男に思えないよ!」 「お前少しは抑えろ。陽太様びっくりしてるだろ」 「あっ・・・いや・・・その・・・初めまして。陽太です」 旭さんはきっちりしっかりしてる感じの黒髪ロングで後ろでポニーテイルをしているのに対して、翔さんは黒髪ショートのセンター分けだ。髪型が違わなければ、全く見分けがつかないぐらいにそっくりだ。 双子ってすごいなぁ。

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