14 / 84

夢魔 13

夢が始まった。 少年のシャツは優しくまくり上げられ、胸を滑るように撫でられる。 その優しいさわり方。 何度も掌を滑らせ、少しづつ、肌の下にある快感に届かせていく。 甘くうまれた陶酔感と、熱のような快感に少年は喘いでしまう。 これは男の、男だけが少年にする抱き方だから。 夢の中で目を開く。 何もない闇の底。 自分にのしかかるのは、白くぼんやりした何かで、男ではない。 だが、その重さも肌の体温も男そのもので。 でも違うのだ。 「嫌だ!!」 泣いて叫ぶ。 男がいい。 男だけがいい。 理由はわからないけれど、少年はもうそう思うようになっていた。 いつか男から離れなければならない日がきても、男が「やっぱり女がええんや、ごめんな」と一緒に暮らすのをやめると切り出されて出ていくことになっても、もう2度とこの身体を使ってお金を稼がなくてもいいようになろうと、勉強も頑張っている。 まともに字も書けなくて、「どつかれ抱かれる以外にお前に何ができる」と父親に言われていた頃とはもう違う。 近い内にアルバイトというものに挑戦しようとも思ってた。 男と離れても、男以外とセックスしなくてもいいように。 男以外としたくない。 何故か切なく思い詰めていた。 なのに今。 分からない何かに身体を弄られている。 嫌だ。 嫌だ。 あの人じゃないのは嫌だ!! どうしてそうなるなか分からないけどつよく思った。 身体を捩ってその手から逃げようとはしてみた。 でももう胸を揉みこみながら、尖った乳首を摘まれていた。 身体が震えた。 身体は喜んでいた。 親指と人差し指で擦り合わせるように、尖った乳首を扱かれると少年は感じてしまうように男によって身体を作り替えられていたのだ。 毎日毎日。 そうされ続けて。 「やだぁ・・・やだっ、んっ・・・ふうっ・・・ああっ」 少年は涎を流して感じてしまう。 それは男の指だ。 そんな風にしてくれた人は他にはいない。 乳首を指で扱かれながら、欲しがるように膨れた乳首の周りをゆっくり舐められた。 それは顔のない顔なのに舌があった。 でもその舌は熱くて大きな男の舌そのモノで。 男に育てられた乳首はそれを欲しがった。 もう淫らに勃起した性器が何もされてないのに震えて、ポタポタと先から零してるのがわかる。 舐められ、扱かれているのは乳首なのに、性器がたまらなく熱くなる。 「ちんぽが濡れまくってガチガチやん、やらしいなぁ」 男ならそう言うはずだ。 少年が羞恥に真っ赤になるのを楽しみながら。 でも、その声はしない。 だから、これは男じゃないと思い知らされる。 「やだぁ・・・いやぁ・・・」 泣いて拒否をするのに、身体は喜ぶ。 男の舌だから。 頭はちがうとわかっているのに、身体は男そのものの舌と指の動きに狂う。 舌が、乳輪だけでなく、指で扱かれる乳首の先をほじくるように舐めてきて。 「ひんっ!!」 少年はだらしなく口を開けて声を漏らしてしまう。 犬のように口を開ききって。 獣みたいに、みっともなく。 たっぷり乳首を扱かれた。 男がするように時間をかけて。 男は少年が快楽に溺れるのが大好きで、直ぐに突っ込むような真似はしないのだ。 しごかれる。 尖った乳首を。 左右交互に舐められ、扱かれる。 少年の小さな尻が淫らに揺れる。 硬い男の腹に破裂寸前の性器をこすりつけようと。 でもそれは男じゃないのに。 「嫌だ・・・嫌だぁ・・・やだ、こんなのやだ!!ああっ・・・いやぁ!!!」 初めて父親にレイプされた時でも、こんなに泣き叫ばなかった。 散々殴られた後だったから、あきらめて黙って耐えていた。 苦痛より快楽であることが今、辛い。 レイプされた時より、心が今痛い。 男がいつもしてくれるみたいにされて。 胸だけでイかされて。 「いやだぁ・・・、 さん!!」 男の名前を呼んで、でも、男じゃ無いモノにイカされてしまったのだった。 これは夢。 夢の中の闇。 でも、少年はこれが現実であることも分かっていた。 あの人は見ないでくれている? お願い見ないで。 せめて見ないでくれたなら。 少年は泣きながら願う。 でも、優しくソレに脚を掴まれて、開かされた脚の間にソレの頭部を感じた。 いとおしむように出したばかりのソコをなめられて。 また声を上げてしまった。 なにもかもが。 男そのものの。 愛撫だったから。 「 さん・・・ さん・・・」 名前を叫ぶことだけ。 もう男は自分を抱かないかもしれない。 誰に何をされても男が自分を嫌わないというのは信じていた。 そんな人なら最初から蹂躙された跡を色濃く持つ、少年を抱いたりしないのだ。 男は1度も嫌悪をみせたことはなかった。 でも、他の誰かと共有するのは嫌いなはずだ。 男は師匠にすら少年が触れられるのを嫌がるし、少年が夜間学校の知り合いとどんな風に付き合っているのかとかは気にしているからだ。 自分は色んな女と寝て来ても。 女達も色んな男と寝ているはずで、それを気にしないのは不思議だったが、一緒に暮らす毎日のように何度も寝るモノには条件が違うのだろう、と少年は理解していた。 もう。 その条件に、少年は外れてしまったのかもしれない。 少年は泣いた。 でもすぐに鳴いた。 大きな口でしゃぶられながら、大きな指で穴を弄られ始めたから。 男の唇。 男の舌。 男の指。 優しくて濃厚な。 でも許しては貰えない執拗な快楽。 でも少年の脚の間にいるのは、ぼやけた何か。 男では無い何か。 少年は悲鳴を上げる。 恐ろしい。 分からない何か。 でも。 気持ちいい。 優しいあの人の 嫌だ。 あの人じゃないと嫌。 でもあの人のだ気持ちいい。 引き裂かれ、でも狂った。 先の穴を舌先で責めるタイミング。 ゆっくり穴の中のそこを擦るいやらしさ、 男じゃないと分かってても。 男のものだから。 「 さん!!!」 名前を叫んだ。 ただ、その名を叫ぶことだけが。 少年を正気へと繋ぎとめていた。

ともだちにシェアしよう!