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夢魔 19

「タテアキさん、どうすれば!!」 男は聴く。 「おやおや、手に負えそうにないかい?頼むよ。せっかくたどり着いたんだ。逃がすなよ?君が電話にでなければ呪で縛れたのに君が出ちゃったから失敗したんだかから」 タテアキがため息をつく。 「まあ、取り憑かれてるのが誰だかしらないけど、一緒にいたらならもうわかってるね。寝かせたら・・・」 タテアキが言い終わるまでに天井からぶつかるように、いや、少年が落下してきた。 思わず避けたが、携帯を奪われた。 凄まじい速さだった。 少年は背中から逆に2つ折りになったまま、両手両脚で床に着地していた。 はなさらやかわ はなさらなこら 男へと少年は吠えた。 変わり果てた顔からつよく睨みつける目には敵意があった。 少年の中の何か、が完全に少年を支配しているのだとわかった。 少年は手にした携帯端末を2つに折った。 簡単に。 タテアキの声を封じたのだ。 男は構えた。 逃がしてはいけない。 それはわかる。 タテアキが来るまで、少年をここに留めなければならない。 だが。 少年を攻撃するわけには。 男の。 可愛い。 可愛い。 少年なのだ。 ぐあはっ ぐあはっ 低音と高音が同時になるような声で少年が吠える。 そして、飛びかかってきた。 背後におり曲がった身体は跳ね上がり、ありえない角度に歪んだ両腕は迷いなく男の眼をつかみ取りに来た。 眼球をつかみ出すつもりだ。 逃げるために男の能力を削ぐつもりか。 タテアキが注目した男の『才能』はその目にある事を、少年の中の何かはわかってるのだ。 本来曲がるはずかない、逆に曲がった指が男の顔へと凄まじい速さで向かう。 人間ならば。 避けられないスピードで。 だが。 男は。 難なく避けた。 つま先1つの動きで、身体の位置をうごかすだけでいい。 目を狙ってくると予想したなら、少年が動き出すより先に動けばいい。 男が単なる人間ならば、男の目は掴み出され、何なら殺されていただろう。 だが。 男は違った。 男は。 いや、男や師匠は。 人間を超える強さを、人間以上の強さを。 追求して生きている生き物なのだ。 人外に襲われた位、大した問題ではない。 体を外し、掴みかかろうとした少年の身体を流し、その頭に肘を落とそうとした。 人間の頭なら割れる。 だが。 落とせなかった。 これは。 可愛い、少年なのだ。 その頭をかち割るわけにはいかない。 「ちいっ」 男は舌打ちした。 その躊躇の瞬間、身体を建て直した少年を支配する何かは見逃さなかった。 きしゃあ きしゃあ その場で2つ折りのまま跳ね上がり、その脚で男の首を蹴り折りにくる。 男はまた僅かな体捌きで避ける。 床に穴が空いた。 少年の体重や筋力ではありえない。 物理的にはありえない。 だが、ありえないことは起こっている以上有り得ることなのだ。 少年を攻撃するわけにはいかない。 さあ、どうする? 男は選択を迫られた。

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