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仮面 1

美しい仮面に姫君は恋をして。 仮面を毎夜抱きしめ亡くなった。 そんな話がある。 でも仮面は人間なわけがない。 ないのだ。 「ひぎぃっ!!」 青年は終わらない責めに泣き叫ぶ。 「ああそんな・・・」 青年は今、誰にも入られたことのない場所で泣かされていた。 セックスにはなれていた。 自慢じゃないが経験はかなりある。 デカいモノもこの後ろで咥え込み、なんなら2本まで入れてきた。 デカいのも長いのも、大好きで楽しんできた。 でも。 コレは違った。 「ひぎぃ・・・舐めないでぇ!!!」 青年は泣き叫んだ。 そんなとこ舐められるはずがなかった。 ありえなかった。 デカいのをもってるヤツが侵入して虐めてくるその場所の、『さらにその奥』なのだ。 そんな所を舐めれるはずがないのだ。 人間のペニスでは絶対に届かない場所。 だが、現実に今、舐められていた。 みっちりと中を押し広げられ、感じる場所を押し潰しながら、奥のその部屋をこじ開け、さらにその奥を『舐め』られていた。 太く、巨大で、長い、『舌』に。 濡れて弾力のある舌は巧みに蠢いた。 舌だけが与えられる感触が満ち満ちた中を抉る。 「いいっ!!いいっ!!いいっ!!!」 青年は喚いた。 信じられないくらい良かった。 ジュボジュボ ジュボジュボ 濡れきった分厚い弾力のある肉に腸壁を擦られおしひろげられ、舐められる。 前立腺を舐められ、結腸の入口を舐められ、さらに人間では絶対に入れないところを舐められている。 結腸のその奥。 人間のペニスでは絶対に無理なその先。 そこを舐められる感覚。 生まれて初めて結腸をブチ抜かれた時は頭が真っ白になってイキ狂った。 だから結腸を抜かれるのは大好きでデカくて長いモノがだいすきだった。 でも、その先は初めてで。 だってそういう場所は器具でもない限りはいることが無理な場所なのだ。 そこを舌が舐めていた。 グチュンと行き止まりを抜いて。 さらにその先を開いてすすんで、なめていた。 クタン 身体の力という力が抜けた。 今まで知ってる「イク」というのとは違った。 身体はゼリーになった。 ただ震えてゼリーのままソレに潰されるだけ。 グチャグチャにかき混ぜられ潰され、 そしてそれを望む。 さらに溶けて液体になる。 意識さえ溶ける。 それはセックスしなれた身体でも知らない快楽だった。 だが。 同時に恐怖に震えていた。 この巨大な、そして長い長い舌。 それが何なのかわかっていたからだ。 自分の脚の間。 そこにソレはいた。 鮮やかなグリーンを基調とした地に、ブルーやオレンジの紋様が描かれていた、仮面、だった。 外国の祭りなどで使われるような。 木の仮面。 鮮やかに色を塗られた。 博物館などにいけば見られるような。 仮面でしかない。 数センチの暑さしかない。 でも。 その仮面は生きていた。 木の仮面のくせに生きていた。 切り込みであり、本来なら穴でしかない目には生々しい眼球があり、金色に光り青年を見上げていた。 そして木製の牙と木で彫った舌があるはずの口は、本物の牙が光り、ぬらぬら光る舌が青年の後孔へと伸びていた。 舌は巨大だった。 大きくきりさかれたような仮面の口からまるで腕のように突き出ていて。 青年の中でその舌が複雑に動いているのがわかる。 そして、その舌の長さは青年が1番良くわかっていた。 仮面。 後頭部に紐をとおして付ける穴まで空いている木製の仮面。 眼球や舌を収める厚さもないはずの仮面。 なのにそれは生きていて、青年を舌で犯しつづけているのだ。 「ひぎぐぅっ!!・・あがぃぁ!!!」 青年は痙攣し続けるだけだ。 もう射精すらしない。 目を見開き、それこそ仮面のような表情で、歯を剥き舌をダラりとだしたまま、恐怖と快感のどちらにも押しつぶされていた。 生々しい目は、青年を見つめつづけている。 舌はさらに激しくその胎内を揺さぶった。 「こわ・・れ・・る」 青年は泣いた。 血走った目から、血液が涙のように滴った。 薄い腹の下で蠢く舌がうきあがっていた。 そして。 壊れた。 舌は腹を突き破ったのだ。 血が吹き出した。 皮膚を突き破っても舌は蠢き前後左右に動くのを止めない。 腹に開けられた亀裂はどんどん大きくなっていく。 赤い巨大な舌は亀裂から飛びてて、腹を引き裂き、また中に消え、また飛だす。 青年の腹を食い破る生き物のように。 いや、くいやぶっているのだ。 本当に。 腸が押し出され飛び出していく。 血が迸る。 「ぎぼぢいい・・・・」 それでも青年は歪みきり、目を見開いたそれこそ仮面のようになった顔で呻いたのだった。 「いいっ!!!いいっ!!!イクゥ!!!」 泣き叫んだ 血を吐きながら。 白い身体が痙攣したのは断末魔のためか、快楽か。 それは分からなかった。 青年が動かなくなると、仮面から伸びていた舌が仮面へと収納されていく。 切り込みの穴でしかない口に巨大な舌は消えていく。 仮面の裏にはただの口の形にあいた穴しか見えないのに。 舌が口の中に消えると。 切れ込みの中にあった眼球も消えて、仮面はただの仮面になった。 腹をグチャグチャに裂かれ、自分の精液に塗れた青年の死体がそこに横たわっていた。 そして脚の間には仮面があった。 その部屋にはもううごくモノは何もいなかった。

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