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閑話 男と少年のハジメテ 4

「可愛いなぁ、そんなに気持ちいいんか?」 優しく囁かれ揺すられた。 深く埋め込め込められていた。 「ああっ・・・気持ち・・・い」 少年は思わず口にしてしまう。 本気でそんなことを言ったのは初めてだった。 ウソなら何度も口にしてる 殴れないために。 でもこれは本当だった。 甘く揺すられる度に、男のモノが中から甘くなる道を擦るのだ。 「たくさん気持ちようなろうな、ホンマに可愛い・・・なんやコレ・・・お前何なん?可愛いすぎるやろ」 ため息をついたのは男だった。 男は軽くイっている少年の唇にまた優しいキスを落とす。 甘ったるい腰使い。 男にとっても意外だった。 こんな抱き方、した事がない。 いや、落とすためにしたことある、だけど、それは手に入れるための、まあ、手段で。 これを楽しいと思ったことはなかった。 その後に、合意で好きなようにさせてもらうためのまあ、手順くらいに思ってた。 いい女を貪るのが大好きだ。 多少サディスティックに。 もちろんソレを女がよろこぶように。 だが。 これは違った。 可愛いかった。 酷いことなんか1つもしたくないほど、可哀想で可愛かった。 弟や妹を可愛がってきた。 怒らせると恐ろしい姉も、もっと怒らせてはダメな父親や母親も好きだった。 師匠はとにかく尊敬している。 まあ、師匠には色々、色々と言いたいこともあるが。 友達、は数少ないがまあ、男なりに大事にしてる。 だが。 セックスとこういう感情が結びつくと思わなかった。 セックスは楽しい遊戯であり、食事みたいなもんであり。 親しい人間の関係や感情とは全く関係なかった。 でも、今。 愛しさを感じてセックスしている。 これは驚きだった。 これは感情以上のものだ。 この傷だらけの痩せた身体は、あまりに優しさを知らない。 優しさに泣いて感じる姿に、男の中で長く閉じられていた蓋が開いたのだ。 流れ出す。 可愛い。 可哀想で可愛い。 もともと男は家族や友人には、とても愛情深い。 セックスする相手にはそれを出す必要がなかっただけだ。 でも、今。 それが開いた。 「ほら、こうしたらもっとええで?」 角度を変えてそこを教えてやったなら、可愛い生き物が腕の中で融けていく。 感じてるんだと教えてくれる締め付けが愛しい。 可愛い。 可愛い。 これはオレのだ、 そう決める。 甘やかして。 可愛がって。 大事にする。 そう決めた。 オレの。 オレの。 優しく突き上げる。 激しさではなく、深さを教えてやりたくて。 少年が声を上げてしがみつくのが可愛くてたまらない。 与えたいのだ。 もっともっと。 傷だらけでボロボロの。 だからこそ可愛い可愛いこの少年をもう手放せなくなっていた。 「お前、オレと来い。なぁ?」 思わず言っていた。 返事は必要なかったが一応聞いた。 連れて帰る。 沢山可愛がって甘やかす。 驚いたように少年は目をみひらいた。 でも寂しそうに笑った。 でも嬉しそうに。 「うん」 そう言ったけれど。 信じてないのがわかった。 その場限りのことだと思っているのだ。 まあ、いい。 そう思った。 時間は沢山あるのだ。 追い詰めすぎない程度にイかせて、怯えないように抱きしめる。 中で出すのも楽しかった。 でも、男とするとか女とするとかじゃなく・・・、これはセックスでなかった。 「男としたらどんなもんかと思ったけど、これはそんなんやないから・・・また男と試さな男の良さは分からんな」 男は呟いた。 これはセックスじゃない。 でも、これはいい。 とてもいい。 気持ちいいだけよりさらにいい。 「オレ・・・良くないですよね・・・」 少年が泣くから慌てた。 「良いとか悪いとかやないんや・・・ああ、泣くな、なぁ?ほら、もう1回イっとこか」 男はまた動き出す。 優しく何度もキスをしながら。 泣きながらも少年はまた蕩けていく。 少年が折れた腕でしがみつく。 これで2度と会えないかのように。 そんなことはありえないのに。 優しさに飢えきってる少年がたまらなく可愛かった。 満たしたい。 満たしてやれば。 どんな風にわらうのか。 「楽しみや」 弟はそれを楽しみだと思った。 男は目じりを下げて笑い、少年はそれに見とれた。 優しいキスと、沈み込むような快楽に少年は溺れる。 そして。 男は少年を捕まえた。 それは本当は少年が男をつかまえた瞬間でもあった

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