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仮面 21
人を拾ってしまったどうしよう。
少年は焦った。
担ぐようにして連れ帰ってきたのは、警察や救急車を呼ばれたくないんじゃないかと思ったからだ。
少年もそうだったから。
気絶しているその子をソファに横たえた。
薄いシャツをめくったのは怪我などをしていないかを確かめるためだった。
でもわかった。
乳首は腫れ上がっていたし、何かでそこを縛られたんだとわかるあともあった。
首や手首にも縛られた痕。
紐よりも柔らかい、柔らかな皮か、とにかく柔らかいモノで上半身のアチコチを縛られていた。
何故少年にそれが痕だけでわかるのか?
少年はそういうことをされるプロだったからだ。
悪いとは思ったけれど、ズボンもぬがせた。
パンツすら履いていなかった。
脱がせたのは裂けていたり怪我をしている可能性もあるからだ。
睾丸に針を突き刺したり
タバコを押し当てたりする可能性もある。
もちろん、少年はされたことはある。
縛られた痕は下半身のアチコチにあり、何度も何度も挿入されてように腫れてはいたけれど、怪我はなかった。
少なくとも。
それなりに丁寧には扱われているようだ。
誰に?
いや、何に?
少年は服を整えてやりながらそれを思って怯える。
とにかく。
これは自分の手におえるものではない。
この子に何かしたモノが人であったとしてもどうにかなるものではないが、コレは人の問題ではない、それだけはわかった。
わかってしまう。
感じるのだ。
とりあえず男に電話をしようとして携帯を持ち、躊躇した。
男の部屋にこの子を勝手に連れ込むのも良くはないのだ。
ここは男の部屋なのに。
男に迷惑をこれ以上かけるのは。
さすがに嫌われてしまうかもしれないと思って震えた。
どうしてもかけられなかった。
繋がらなくても、とりあえず何かあったら電話しろ、と言ってくれてるのに。
用がなくても、何でもいいぞ、繋がらない事もあると思うけど、と。
後から絶対連絡するし、電話出来なくても何かあったらなんとかするから、と言ってくれてるのに。
迷惑なんかかけられない。
それにさらにこれは自分のことじゃない。
余計なトラブルを引き受けて。
嫌われてしまうのは。
辛かった。
男ではなく。
「彼」にかけた。
彼にも怒られるのはわかっていたけれど。
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