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仮面 28

少年は構える。 だがドアは開いたが入ってくる気配はない。 緊張で汗が額から床へと滴り落ちる。 刀が重く感じる。 恐ろしい。 ただ、恐ろしい。 バチン 突然部屋の電気が消えた。 通路からの灯りだけが差す。 そして影がよぎった。 しまった、そうおもう。 悲鳴を上げたのはイガラシだ。 少年は慌てて灯りを求めて部屋の入口のスイッチを押す。 何度か押すことを繰り返すと電気はついた。 「嫌だぁ・・・やめ・・・アッ・・・」 イガラシが泣いていた。 イガラシの胸に仮面が張り付き、その胸を舐めていた。 尖った乳首を太くて厚い舌が執拗に擦り付けられていた。 ひんひん泣きながら、イガラシはもう痙攣していた。 何度もされて、そうなるように仕込まれてしまっているのだ。 身体は快楽を覚えるから。 少年は不慣れな刀を振り回すのは流石に止めて、ポケットから呪符を取り出し、仮面に向かった。 刀を振り回せば少年ではイガラシを傷つける可能性の方が高かったからだ。 直接御札を貼れば? 少しは効くかも。 それくらいの理由だった。 少年にはなんの武器もない。 いや、武器はあっても使う腕もないのだ。 札が触れそうになった瞬間、仮面が跳ね上がった。 天井に張り付いている、 だが、長く伸びた舌はイガラシの乳首を責め続けたままだ。 乳首を覆うようにして包まれ、複雑な動きをその舌はする。 包まれ締め上げ、舐められる。 きゅんと締められる度にイガラシが喘ぎ、腰がカクカクと揺れている。 感じているのだ。 胸だけで。 「やだあ・・・いやだぁ・・・」 イガラシが絶叫し、また痙攣した。 ズボンに染みが広がっている。 イったのだ。 少年は今度は刀をつかった。 男の刀の形の見様見真似で、天井から伸びたその舌を斬る。 斬れた。 意外にも。 かららさわなは!!! かりはさらはら!!! 仮面は斬られた舌で怒鳴った。 白濁した体液がほとばしり、イガラシに降り注ぐ。 イガラシはその体液を舌を伸ばして喜んで飲んでいた。 穴のような目に浮かぶ金色の眼球が少年をにらみつける。 が、少年を襲ってはこない。 少年の胸に下げたベンタントが熱い。 コレのせいか。 そうわかる。 蟲姫様の加護。 これがあるから怪異は少年には手を出せない。 だが。 仮面は諦めるつもりはないらしかった。 髪が伸びてくる。 斬ったはずの舌もまた伸びる。 少年は刀を振り回して斬るが、斬っても斬っても新しい髪や舌が伸びてきて、とうとう刀は髪に巻かれて取り上げられてしまった。 男なら全て切り捨てて仮面まで切り捨てられただろうに。 少年は自分の無力さを思い知る。 そして、仮面はまたイガラシをせめ始めた。 髪や舌が天井からイガラシへと伸びる。 その髪を引きはがそうとしても無理だった。 その舌を止めようとして無理だった。 少年の腕力では引き剥がせない。 柔らかい肉のような髪はイガラシの口の中を犯し、乳首に巻き付き扱きたて、舌はイガラシの穴の中に入ってしまう。 スボンをずらされ、もう入り慣れた場所を舌はぬぷぬぷと入っていく。 好きなように動かれる。 「ふぐぅっ・・・ひぎぃ・・・」 イガラシが言葉にならない声を上げ続ける。 涙を流しながら。 また勃起したペニスを突き立てながら。 そこには舌も髪も巻きついていないのに、震えて濡れている。 そして、少年のめのまえでイカされる。 中を突かれて。 奥まで犯されて。 射精する。 めくれ上がったシャツ。 腹の皮越しにうごいている舌の動きがわかった。 こんなところまで入っている・・・。 少年はその深さにゾッとした。 脚を髪に広げさせられ、穴を丸見えにされ犯されているイガラシは、もうただ喘ぎ叫ぶだけの存在になっていた。 少年は包丁を持ってきて、伸びてくる舌や髪を斬ってみたがさっきの刀とはちがってびくともしない。 札を舌や髪に向けてみたが、舌や髪では効かないらしい。 天井の仮面に札を届かせようとしても、髪が延びてきて、軽く跳ね除けられ、あしらわれてしまう。 「ふぐぅふがぅふぐぅ!!!」 イガラシが口を犯され、穴を犯されてながら、呻き泣いている、 射精しながら泣いている。 痙攣しながら泣いている。 「オレはもう、もたない・・・」 イガラシはそう言っていた。 それは間違いない。 もうイガラシには耐えられない。 少年はイガラシをまもりたかった。 でも。 できることは。 できることは・・・・。 あった。 1つだけ。 少年はその前にポケットから人型に切り抜かれた紙を取り出した。 使い方は良く分からないけど多分コレでいいはず。 「オレが危ないと彼につたえて」 人型に囁き手を離す。 人型は飛び立つ。 おそらく、彼が泊まるホテルまで。 彼はイガラシの為には動いてくれなくても、少年のためになら動いてくれるはずだ。 少年がもう人間から離れているから彼は少年が好きなのだ。 そういう人だ。 人間以外には限りなく優しい。 少年は今自分ができることをした。 自分の首からペンダントを外し、イガラシの首にかけたのだ。 これで。 蟲姫さまの加護はイガラシにいく。 効果は抜群だった。 舌は引き抜かれ、髪はイガラシから解ける。 イガラシは気絶したまま、ベッドに放り出されていた。 イガラシの精神状態はどうなのかまだわからないけれど、まだ大丈夫なことを祈るしかなかった。 でも。 それは。 ペンダントを外したということは。 どんな人間よりも美味そうな気を放つモノになっている少年が無防備になっているということだった。 仮面の金色の目が少年を見据えた。 獲物として。

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