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仮面 40
窓が勝手に鍵が外れて開く。
飛んできたのは手首までの手だった。
6つ、いや6本の手が「羽ばたいて」入ってきた。
ふわふわと蝶のように。
そう、手が羽ばたいている。
中指以外の指を羽のように動かして。
青白いその指は血管の浮き出た男の指で、爪もなにもかもがリアルな本物に見えた。
ただ、切断されたような手首の部分は薄く皮膚で覆われていて、切断されたのではなく、もとからそうなのだ、とわかった。
虫なのだ。
怪異の、「虫」。
彼は虫の怪異の専門家だから。
吸い寄せられるように少年の元へ手は飛んでくる。
少年の甘い匂いに誘われるかのように。
少年は自分で後ろの穴を弄り続け、男は笑ってそれを見ていた。
指が止まらない少年は、腰をゆらし、甘く鳴いている。
でも、穴の中が切なすぎるのか、男の股間に尻を押し付けている。
「欲しい・・・欲しい・・・ココ欲しい・・・」
少年が強請るのを男は笑うだけ。
髪を撫でキスするだけ。
2人は虫を気にしない。
手が1匹、いや1本?、少年の顔の前で、宙に留まる。
少年の快楽に溺れて虚ろな目がそれを見る。
手のひらが割れた。
そこは口だった。
歯と赤い舌が覗く。
舌が伸ばされた。
濡れた舌が。
少年は自分から唇を開いて舌を突き出した。
口も寂しい。
もっともっと埋めて欲しい。
手から出る舌と少年の舌が辛みあった。
他の手達も少年に群がっていく。
乳首に手が止まった。
指が少年の乳首をつまみ上げ、手のひらの口から伸びる舌が摘まれ、つぶされる乳首を舐めていく。
「んんっ、ふうっ、ひいん」
手のひらからの舌が口の中をむさぼる、そのあいだから少年が声を漏らす。
違う手は反対側の乳首を。
また違う手は少年のペニスを舐めて扱いて、咥える。
違う手は胸を撫で上げ、腹を舐め上げ、舌を臍に差し込む。
少年の指を噛んで指股をなめあげる「手」、少年の足の脛太もも、足の甲、指を撫で摘み舐める「手」。
穴を指で弄り舐める「手」。
虫達は少年を貪り始めた。
指と舌が、じっとりと少年を味わう。
唇を撫でられ、唇の中を指で責められながら舐められる。
舌を扱かれながら舐められる。
指も乳首も足もなにもかもがペニスのように扱われる。
それが堪らなくて、少年は泣き叫ぶ。
穴だけはメスにされる。
指と舌で。
複数の同時責められる快感に少年の痙攣が止まらない。
ひぐうっ
ひぎぃ
男に抱き抱えられながら、虫たちにいかされ続けられる少年を男は愛しげに見つめていた。
「エッロいやん・・・可愛い」
髪に何度もキスしながら。
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