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仮面 41

バタン ドアが開いた。 ドアを叩いていた怪異が入ってきたのだ。 ドアからの足音が奇妙だった。 ドン ドン ドン その足音は二足歩行の足音にしては、単調で重すぎた。 部屋にやってきた怪異を見てわかる。 一本足の怪異。 蟻のような頭部と胴体を持つその怪異は、案山子のような1本脚と、背中から生えた一本の腕しかなかった。 そして。 下腹部からは、人間のモノとは異なる形状の、それでもそれが性器だとわかるものを突き立てていた。 かはらなは かはならな 切れ目のような口を開いて一本脚の怪異が喚いた 光を複雑に反射する巨大な複眼は少年しかみていない。 少年を背中から抱きしめる男も、少年に群がりその身体を舐め噛み吸い、指で弄る手の怪異立場も。 少年だけ。 いや、その穴だけしか。 「指だけや足りんのやろ?でっかいちんぽが来たで。挿れてもらえや」 耳を噛みながら男が囁く。 少年は手の怪異に舌を貪られながらうなづいた。 男が脚を広げてやった。 男は、そこで穴を舐め、指で弄っていた「手」の怪異をむしり取ってやりさえもした。 一本脚の怪異のために。 きしゃぁ きしゃぁ 金切り声をあげてのけられた手の怪異は怒ったが、それより先に脚の怪異が飛びついてくるのが先だった。 昆虫特有の黒い身体が少年の脚の間に収まる。 男並みにデカい蟻の怪異のために男は脚を持ち上げてやりさえした。 くろいメタリックに光る、コブだらけの凶悪なペニスがすぐさま穴に当てられる。 不気味な虫の顔が少年の前にある。 ヨダレを垂れ流す蟻のような顔が。 だけど少年は気にしない。 気にしたのは男の言葉だけだ。 「可愛いとこ見せてや?オレの前で」 その言葉は甘かった。 とてもとても。 その奇怪なペニスに自ら穴を押し付け少年は腰を揺すった。 それが欲しくて。 メタリックな外観よりは、人間のモノに近い質感で、人間のように濡れるそれを少年は欲しくてたまらなかった。 不気味な怪異のペニスであっても。 かららやかや からなからや 一本脚の虫が奇怪な声で喜び喚いても。 その口が少年の顔が入るくらいどれほどデカくひらいても。 気にしなかった。 少年の舌を貪っていた「手」の怪異を1本脚の怪異の口から飛び出た舌が絡め取り、1本脚の怪異は手の怪異をむしゃむしゃと食べてしまった。 骨が砕ける音と、手の怪異の悲鳴。 飛び散る血のような体液。 それも少年は気にしなかった。 少年の身体を貪る他の手の怪異達も気にしなかった。 ちょっと背中から少年を抱きしめている男が顔を顰めたくらいだ。 でも口が寂しくなって少年は舌を突き出し欲しがった。 それを男の唇が塞いでくれた。 そして。 やっと。 欲しくて堪らなかった穴にコブだらけのペニスが突き立てられた。 ぐぽん ぐぽん コブの形をなぞるように穴はそのペニスを受け入れていく。 「でこぼこ・・・いいっ!!でこぼこ!!!」 コブだらけの性器に少年は喜ぶ。 ヨダレを垂らし少年が叫ぶ。 「ええかでこぼこ好きか?ああ、もうそんな腰振って、エロい、可愛いなぁ」 男は揺れる少年の尻を見て感じて楽しんでいた。 目を細める。 愛しくてたまらないかのように。 ぱかり 口を裂けるように開いて歯を剥き出しながら虫は激しく下腹部をうちつけ少年の中を抉った。 肉を打つ音 虫が叫ぶ。 きはらなわ きはやさら 歓喜の叫び。 その声さえ少年は気にしない。 でもコブだらけのペニスを喜んだ。 コブは腸壁を激しく捲りあげ、擦り立てるから。 「ひぎぃ!!ひくぅ!!!イクゥ!!!」 少年が男の腕に爪を立てながら叫ぶ。 夢中で少年も腰を振っていた。 「いぎぃいぃ!!ぐひぃいい!!」 激しく痙攣して、目を見開く。 全身で射精して、全身で中イキする。 男に大事に大事に優しくしかされてこなかったから、身体の隅々まで感じるようにされていた。 どこまでも感じてしまう身体にされていた。 そして、自分を犯してきた男達とも違って虫達は少年の快楽を優先していた。 精気を美味しく貪るために。 だから、少年は感じるだけ感じるしかなかった。 全身が性器で繊細で鋭敏な感覚器になって。 千本の針で刺されるような快楽と、ナタでぶち切られる快感。 涙もヨダレも精液も鼻水もなにもかもを垂れ流す。 たらかりさ ならはかさ 1本脚の虫が喚きそのペニスが深くまでえぐる。 ボコボコのコブが少年の腸壁の襞を捻りあげ、感じるポイントを刺してくる。 コブに擦られ捲られ泣きわめく。 穴は際限なく少年を女のようにメスイキさせる。 ぺちゃ ぺちゃ その間も手の虫達はその間も、全身を甘く噛み、時に舐め、指で快楽をつかみ出していく 手の怪異は迸る少年のペニスからの精液を喜びながら飲んでいた。 その間にも他の手の怪異に尖って固まる乳首を齧られてもいた。 足の指も違う手の怪異が、手の指もまた違う快楽が、ペニスみたいに扱かれ舐められもいた、 喉や背中さえも舐められ撫でられ、噛まれ吸われていた。 少年は全身を手の怪異にペニスにされていたのだ。 穴以外は全てペニスになる。 それに全身で射精する。 そこへ一本脚の怪異の巨大なペニスで穴はメスにされて。 深く深く抉られ、複雑なコブが腸壁を絡め取り、擦りとる メスになる。 穴はすっかりメスになる。 男に愛しくそこで感じることを教えられてきたからこそ。 オスの快楽とメスの快楽。 それらに同時に焼かれるのは、甘く激しく殺されるようだった。 「ひぎぃ!!ぎひぃ!!はがぁぁぁぁ!!!」 少年は壊れたように射精し、メスイキする。 「気持ちよくなり・・・可愛いなぁ・・・もっと、可愛くなり・・・」 男が抱きしめて囁いてくれるから。 男がそこで見ていてくれるから。 男の視線に1番少年は溺れた。 快楽は全て。 男がいるからこそ。 「好きぃ!!!」 深い場所まで何度も何度も一本脚に抉られながら、少年が叫ぶ。 「知ってる・・・ホンマ、可愛いわ、エロいしな」 男は少年の耳に囁いたから。 少年は喜んで何度も何度も達する。 イったなら男が喜んでくれる、 それが嬉しい。 「・・・ああ、マジたまんらんわ。見てるんでもええなんて、生まれてはじめてや」 男は声をあげて笑った。 楽しそうだった。 「わらってやがる。クソ最低な変態野郎や・・・」 彼は呆れたように言った。 だけど今は恥ずかしがらない。 なぜならこれは怪異の食事であり、セックスではないのだ。 「彼」にとっては。 イガラシは泣きながら、それでもまだ自慰をやめられない。 「さて、そろそろ来るな」 彼は言った。 本命が。 そして。 それは来た。

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