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仮面 47
「分からんで済むかい、お前が計画したんやろ!!」
男が怒鳴った。
男の目の前で怪異を少年が喰らっていた。
淫らに感じて、その穴で怪異を喰らっていた。
「ああ・・・いいっ’・・・ああっ・・・もっとぉ・・・」
淫らに揺れる尻の動きがいやらしすぎた。
思わず男が覆いかぶさり、仮面の舌が入っているその穴に男のモノも一緒にいれたくなるくらいに。
だが、それは死を意味することもわかった。
少年は喰っている。
仮面の怪異を喰っている。
その身体は今は猛毒だし、怪異の精気まで喰らうのだ、人間なら即死だろう。
「仮説でいいか?」
彼が困りきったまま言う。
「ええから何か説明してくれや!!」
男も困りきったまま促す。
分からなすぎて。
困る。
困るしかない。
「この子は元々他の怪異達の精を取り込んでいる、そこへ仮面茸に苗床として身体を弄られた。その上、手まもり蛾や一本脚蟻の精液や体液で身体を猛毒に変えられた。こういう複数の怪異に身体を変えられた人間というのは普通はありえないんや。喰われて死んどるか、1人の怪異にしぬまで貪られ続けるか、や。怪異は手に入れた人間の身体を他の怪異と共有したがらないから。手まもり蛾と一本脚蟻の共生は特殊やけど、それでも手護り蛾と一本脚の獲物が仮面茸に奪われることなんか普通はない。俺が介入したことで、ありえないことが起こってるんや。複数の怪異の精や毒が人間にどんな影響を与えるかなんて、誰にも分からんことやったんや」
悩みながら彼が言う。
「つまり?」
男が簡潔な答えを求める。
「複数の怪異と深く関わったことで、あの子の身体が変わった。怪異を喰うものになった。おそらく」
彼は呆然と少年をみつめながら言った。
その目は怯えていた。
怪異を恐れない彼が怯えていた。
怪異と深く関わることは人であることこら遠ざかる、怪異に近くなることは分かっていた。
でも、今、少年は怪異ですらない何かに変わっていた。
怪異を喰らっていた。
カラカラに枯れた仮面が霧のように崩れ去った。
少年は笑いながら、またイった。
くらい尽くしたのだ。
ふふふ
ふふふ
少年は笑った。
ヨダレを垂らし、体液や肉片に、塗れ、でも妖しく美しく少年は笑った。
「・・・もっとぉ・・・」
少年が男や彼やイガラシをみて言った。
正気ではなかった。
男も彼もイガラシにも恐怖が走った。
食われる。
そう直感した。
食い尽くされ殺される、そうわかった。
ここにいるのは、怪異よりも恐ろしく美しい何かだった
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