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第12話 そんなものに俺が釣られるとでも思ったんですか?

そしてその週は連日残業したけど課長が差し入れに来ることもなく、いつもどおりの日々を過ごした。 お陰でなんとか金曜日中に頼まれた仕事は終わらせられそうだった。 「よし。今日までになんとか出来そうだ」 「よかったですね!さすが新木さん」 「山脇さんが手伝ってくれたお陰だよ。まじでありがとう」 「いえいえ~」 俺が山脇さんとにこやかに話していると、珍しく課長に呼ばれた。 しかも何やら眉間に皺が寄ってて怖い顔をしている。 あれ……俺なんかやらかしたか? 「新木、この書類だけど」 「あ、はい。なんかおかしかったですか?」 手元を覗き込む。 「いくら頼んだ仕事の量が多かったからって、内容がこれでは手抜きすぎるんじゃないか?」 「え、あ……すいません」 あー、ちょっと自信なかったところだ。やっぱ指摘されたかぁ。 「もう少しちゃんと数値を検討して。説得力が無いよこれじゃ」 「わかりました」 「やり直しだ」 「はい……」 俺が肩を落として席に戻ろうとしたら課長に引き止められた。 「新木、ちょっと来い」 「は、はい?」 廊下に連れ出される。まさか他の社員には聞かせられないような怒声浴びせられる!? そのまま背中を押されてトイレに入った。 え?いや、トイレしたいなら1人で行ってくれよ。 「課長、お腹痛いんすか?」 結構乱暴に個室に押し込まれた。え?なんで俺も入るの? ドンと壁に押し付けられる。 いやいや、何?こわ! 「な、どうしたんです……んむっ!?」 そのままいきなりキスされた。 どぅえぇえええええ?!ちょちょちょちょ、やめい!! 「んーーっ!」 じゅぷ、じゅる…… 噛みつかんばかりの勢いで唇を貪られる。 どうなってんだ?! ぎゃーーー!しかも課長、股間をグイグイ押し付けないで!!なんなの?!めちゃくちゃ勃起してるんですけど!? こわいこわいこわい!どうしたんだ!? 「んっふ……ん……」 口の中を舐め回されながら股間に勃起したものを押し付けられて、段々俺も気持ち良くなって勃ちかけてしまった。 「あん……だ、だめですかちょ……」 「ごめん。君が山脇さんとイチャイチャしてるの見てムラっときた。俺、嫉妬すると勃起するんだ」 なにそのいらない情報!?課長ド変態だな?! 俺はわけのわからない課長の生態に付き合わされていきなりトイレでキス&ちんこグリグリされ呆然としていた。 「はぁ、はぁ、はぁ……」 終わった? 「ああ、可愛いな。君のその顔を見ていたらだんだん嫉妬心がおさまってきたよ。ありがとう奏太」 「いえ、あの……」 おぅ?!すげぇ。まじで課長のちんこ静かになってるよ。 「今夜うちに来なよ」 「えっ、いや、無理です」 こんなんされて行くわけねえだろ! 「すき焼きにしよう」 「え?すき焼き?」 ふ、そんなものに俺が釣られるとでも思ったんですか? 「米沢牛が届いてるんだ。ふるさと納税の返礼でね」 「…………」 「頑張って仕事終わらせて、すき焼き。ね?」 「…………はい」 んぁああああまたしても俺というやつは!!! でも米沢牛が待ってるんじゃ仕方ないよね?!俺が悪いんじゃない、これはブランド和牛が悪い。 「じゃあ戻ろうか」 「ふぇ?」 課長はさっさと個室を出て手を洗い、口元をハンカチで拭いて髪の毛を整えるとトイレから出ていった。 残された俺は、口の周りはベッタベタで、ちんこは半勃ち。心の中で円周率を唱え、萎えたところでようやく個室を出て手を洗った。 袖でぐいぐいと口を拭う。 「な、なんなんだよ。こんなにしておいて置いてくなんて……」 俺がちょっと涙目で席に戻ると隣の山脇さんが俺の顔を見て言う。 「だ、大丈夫ですか?泣くほど怒られたんですか?」 「えっ!あ、ああ。ちょっとね……」 山脇さんは心配そうに俺を見ていた。まさか課長にキスされてたとは思うまい。 俺は指摘された仕事をやり直しながら、頭の中は牛で満たされていった。

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