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第40話 決断(2)

「もしもし……っ?」 『碧? 武彦だけど』  飛びついて出ると、困惑ぎみの声が返ってきて、碧は心底ほっとした。 「ああ、良かった。こんな時間にごめん。今、話せるかな?」 『どうした?』 「その、メッセージ、読んでくれた? 実はできれば今夜中に、どうしても話しておきたいことがあって……」  話しながら、これではまるで付きまといだと思った碧は、やがて不安が募ってくると、冷静になった。 「あの、しつこくメッセージ送ったり、電話したりして、ごめん。きみにどうしても伝えなきゃならないことがあって、ちょっと気持ちが動転してしまって。でも、すぐに終わる用事だから、できれば直接逢いたいんだけど、駄目なら今から……」 『わかった。うち、くる?』  駄目なら今から言うから、聞くだけ聞いてくれるよう頼もうとした矢先だった。武彦がそう言ってくれて、碧は気持ちが持ち上がるのを感じた。 「いいの……?」 『うん。実は俺も、話があって。しばらく死ぬほど忙しくて、いつ連絡したものか迷ってたから、碧からしてきてくれて、良かった』 「そっか」 『場所、わかる? あ、部屋番号……』  武彦が部屋の番号を伝えて、今どの辺りに碧がいるのか尋ねた。 「いつもの映画館を出たところだから、少しかかるけど、よければ少しだけお邪魔させて」 『いいよ。待ってる。気をつけて』  久しぶりの武彦の声に、碧は目の奥がつんとした。 「ありがとう」  言って通話をオフにすると、目頭を一度だけ押さえ、歩調を速めた。

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