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17歳の夏4

「す、すごい」 「今のは肘寄せだ。手首を掴まれたら掌を開き自分の肘を相手の肘に寄せる。そうすると掴まれていた手首を抜ける」 「あっちでやってるのは小手返しだ。相手の手の甲に親指をしっかり当てて、そのまま手首を捻る。関節を決めて上から押せば相手は転ぶ」   レッスンを受けている女性達はバタバタと男性を薙ぎ倒している。 「力は必要ないんだよカート。 やり方とコツを掴めば誰でも出来る。彼女達も君みたいに色々な理由でこの道場に通ってる」 後から知ったけど、あっちで一生懸命レッスンしているマダムのハリソンさんは旦那さんからの長年のDVに悩んでいたんだって。 護身術を習って、グラントさん達の助けもあって去年離婚したそうだ。 「護身術は相手を倒すんじゃなく自分の身を守る為の力だよ。相手の不意をついて逃げられる。 どう?ウチで護身術やってみない?」 「やってみたいけど、母子家庭のウチじゃレッスン代が払えない、、、」 これ以上、ママに負担はかけられない。 朝から晩まで僕のために働き詰め。 「ん〜じゃあ、僕は今、君を助ける。レッスン代は無料だ。その代わり将来、カートが大人になった時でいい。僕が困った時は君が助けてくれ。 どうだ?交渉成立?」 「いいの?」 「君をこのまま学校へ戻したく無い。僕のためにも、護身術を少しでも身につけて自衛して欲しい」 「グラントさん、、、」 「ライアンで良いよ」 「ライアンありがとう」 「じゃあ早速練習だ」 「待って待って、ジャケットを脱ぐから!今日のはお気に入りのビンテージなんだ」 「あははは、良いよ、脱いだら始めよう」 「護身術は戦う為の武術じゃないんだ。あくまでも隙を突いて逃げる為。じゃあ、やってみようか!まずは、僕が掴んだ腕を解いてみよう」 ライアンは1時間程、マンツーマンで教えてくれた。 ひ弱な僕でも筋肉ムキムキなライアンを軽い力で振り解いたり倒したり出来る。 僕は護身術に夢中になった。

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