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17歳の夏5

はぁっ はぁ はぁっ 東棟の校舎から中庭までずっと全力疾走だ。 息が苦しい。 運動不足の僕にはかなり堪える。もうシェーンは撒けただろうか? シェーンにキスされてからは学校でも外でも更に警戒して過ごしてるのに、しつこく毎日追い回される。 中庭の花壇の奥に隠れて様子を伺っているとすぐにシェーンが来た。 「待てよ変態オカマヤロー」 アメフト部の体力を舐めていた。こんなに早く追ってくるとは。 「話があんだよ、出てこい」 出て行く訳がない。 ジュースをかけられるか、突き飛ばされるか。 中庭は身を隠す茂みや樹木はあるが、四方を柵で囲まれていて出入り口は一箇所だ。 不味いところに逃げ込んだかも。 足音を立てずそっと逃げ出そうとした時、肩を掴まれた。 「待てよ、何で逃げんだよ、話があんだよ」 「僕に話す事ない」 咄嗟に掴まれた肩を、腰を低くして振り解いた。ライアンに教わった通りにやれば力は要らない。 「クソッ!逃げんな」 次は想定外だった。 いきなりシェーンは僕の股間を後ろから鷲掴みしたのだ。 このパターンは、対処不能!まだ習ってない! 急所を掴まれているので、身体はすくみ上がって動けなくなった。 無遠慮に股間をワシワシと揉まれる。 「本当に男なのか?お前」 「や、、、やめ、、、て」 もう限界だった。怖くて言えたのは一言。 涙が溢れた。 震え、鼻水も止まらない。 「誰か、、、」 誰か助けて!! 「ストップ!」突然、声が中庭に響き渡った。 「大丈夫?君」 突然現れた男はアジア系や、スペイン系などの血を引いているのかエキゾチックな顔立ちの男性だ。濃い眉に堀の深い顔立ち。 「さあ、こっちへ」 男は僕の手を引くとシェーンから引き離した。 シェーンはというと、体がピタッと動かないまま固まっている。 「もう大丈夫だよ」 爽やかな笑顔だ。知らない顔。 「誰?」 「ブレイン。転校生だ。君は?」 「カート」 「カートか、宜しく。それからコレをどうぞ」 涙と鼻水でグシャグシャな僕にブレインはハンカチを貸してくれた。 「少し落ち着いてきた?」 「うん」  「じゃあ、ここから移動しよう」 シェーンはまだ動かない。 ブレインは手を繋いで中庭から校舎へ連れ出してくれた。 「どうなってるの?」 「僕の秘密知りたい?」 意味深に微笑むブレインに、何故か心臓がドキドキした。

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