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17歳の夏6

ブレインは不思議な男だ。 彼は僕の前に転校生として突然現れた。 「おはよう、カート。今日のブラウスの刺繍素敵だね」 「あ、ありがとう」 彼はキラキラとしていて、堂々と自信に満ちてて、、、 そして、何故か彼には誰も逆らえない。 気付いているのは、もしかして僕だけ? 初めて会ってから、何となくブレインと一緒に居る。 彼は転校生で同じクラスになった。 ブレインと一緒に居ると誰も僕を虐めて来ないんだ。 ブレインと2人で廊下を歩いているとシェーンが居た。 僕は突き飛ばされるか、腕を掴まれるか。身体が身構える。 「大丈夫だよ、カート。君は僕が守るから」 ブレインはシェーンに「シェーン、あっちで皆んなが呼んでる」と言った。 シェーンは「そうか、サンキュー」と言ってブレインに言われた通りに動いた。 「君は魔法使い?」 結局、初対面の時、秘密は教えて貰えなかった。 「僕の秘密知りたい?」に知りたいと答えたら「君にドキドキしてる」だった。 「う〜ん、空は飛べないし、魔法の杖も持ってないな」 また、はぐらかされた。 「これ以上の詮索は辞めておくよ。でも、君のお陰で助かってる、本当にありがとう」 「お礼は放課後デートでいいよ」 デートなんて男子に言われたらドキドキする。 僕の周りにはゲイだとオープンにしている人も居ないし、デートに誘われた事なんてない。 「僕、放課後は護身術の道場に通ってるんだ。だから、、、」 デートには行けない。 だけど、、、 凄く行ってみたい。こんなカッコイイ男子に誘われたのなんて初めてだし! 「なんだか、、、凄く可愛い顔してる」 ブレインは何故か困ったような顔で微笑んだ。 「???」 可愛い顔???行ってみたいのが顔に出ちゃったの??? 「じゃあ、日曜日は?日曜日にデートに行かない?ちょうど、ミュージカルのチケットが2枚あるんだ。レントの地方公演だけどカートは興味ある?」 「ある!あるに決まってるだろ!大好きな演目だ!」 信じられない!本当に友達とミュージカルに行けるなんて! 「じゃあ決まり。日曜日迎えに行くから住所送っておいて」 「うん、わかった」 17歳の夏。僕の初デートだ!

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