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17歳の夏7

「何かいい事あったのか?」 道場でいつものように護身術を教わっていると、ライアンが不思議そうに聞いてきた。 「聞いてくれるの?僕、初めてデートに誘われた!イケメン転校生に!しかも!ミュージカルを観にいくんだ」 ライアンも喜んでくれる? そう思って話したんだけど。 「、、、」 無言だ。 何だか怒ってる?? 「カート、、、非常に言いにくいんだが」 「なに?」 「ここ数週間、毎日の様に君と過ごして、、、君の事、少しは知った身としてお節介を承知で言うんだが、、、」 「なに?」 「17歳の男なんて正直、君みたいに健全な子ばかりじゃない」 「ブレインは良い人だ」 「そうじゃ無い、17歳の男なんてセックスの事ばっかり考えてるような年頃だろ? カート、君の性知識は小学生並みだ。女子小学生。デートで怖い思いして欲しくないんだよ」 「ただミュージカル観に行くだけだよ!」 「男がそれだけで済むとでも?」   「それだけで済まないのはライアンでしょ?ブレインは違う!」 「ああそうだな、俺がお前とデートしたらそれだけじゃ済まないよ」 「え?」 どういう意味?! 「まあ、俺の事は置いておいて、君が思っているよりも男はずっと狼なんだよ。君が心配なんだ」 「心配なんかいらない!ゲイの僕はデートに誘われるだけでも奇跡なんだよ! 僕はブレインを信じてる。今日はもう帰る」 「カート、、、」 ライアンの心配は理解できる。 僕は彼の言った通り性的な事に疎い。 淡い夢物語ばっかりで現実的なセックスはまだ目を背けたい。 恋はしたい。 普通に恋がしたい。 でもその先にあるリアルは怖い。 ライアンは間違って無い。 僕はお子様だ。

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