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17歳の夏9

「おはようカート、今日の帽子素敵だね」 結局、ブレインと僕はデートしたけど何も無かった。  「ありがとう」 帰りの車中ではミュージカルの話をしたりファッションの話をしたり、ブレインは終始楽しそうに僕の話を聞いてくれた。 逃げ出そうとしたくせに、それを少し残念思ってしまうのは単なる僕の我儘。 それに、相変わらずブレインが側に居る時はシェーンは近づいて来ない。 僕は今までで1番リラックスして学校生活を送れてる。 ブレインと2人で並んで歩いていると学校の前に背の高い見慣れた男が居た。 「ライアン?」 「カート!」 「どうしてここに?」 「君が1週間も顔出さないからだろ。電話にも出ないし」 ライアンと喧嘩してから1週間。道場には行って無い。というか、合わせる顔が無くて。 何回か鳴った電話にも折り返してない。 「カート知り合い?大丈夫?」 ブレインがライアンを睨みつけた。 「大丈夫、ブレインは先に行ってて。護身術の道場の先生だよ。僕はライアンと話してから行く」 「君がブレイン?カートから話は聞いてる。いつもカートを守ってくれてありがと」 「貴方にお礼を言われる筋合いは無いです」 珍しくブレインもライアンも刺々しい雰囲気。

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