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17歳の冬4

翌日、警察の事情聴取にママと警察署に行った。 でも結局、ブレインの事は何も分からなかった。 学校にも問い合わせて貰ったけどブレインの在籍を証明するものが無い。 社会保障番号Social Security numberも銀行口座も電話番号も住居も何もデータが無い。 帰宅後はすぐにブレインから預かったスマホを開こうとしたけど。 「パスワードが分からない」  僕、ブレインの誕生日も知らない。 住んでる家も。家族構成も。何も知らない。 それどころかブレインの姓も知らない。 警察署でも、僕が彼の事を何も知らないから逆に不審な顔をされた。 どうして今まで気づかなかったんだろう? 大好きな人の事を何も知らない。 僕から聞く事も出来た筈なのに!何してたんだ?僕は! 自己嫌悪に涙が溢れた。 「ブレイン、君はいったい誰?」 ブレインは僕に何も話してくれなかった。 信用されて無かったの? 「僕はどうすれば良い?ブレイン」 あれから君はどうなったの? 何度連絡しても電話にもメールにも返事は来ない。 警察に確認しても、劇場に居たのは僕だけだと言われ相手にされない。 ブレインという男は、まるで存在して無かったみたい。 武装した男達に連れ去られたとしたら生死に関わるはずだ。 何とか見つけ出したい。 その時、携帯が鳴った。 相手はライアンだ。 「もしもし?カート?」 「ライアン!ッ!ライアンン!」 「おいおい、落ち着け、どうした?泣いてるのか?」 「ブレインが、つ捕まったかもしれない!」 「捕まった?警察にか?」 「ち、違う」 「兎に角、落ち着け。今からそっちに行く」 ライアンは30分ぐらいすると、本当に家まで来てくれた。 「まだ泣いてたのか?」 ティッシュボックスを抱えて玄関まで出迎えた僕に優しく笑いかける。 「助けてライアン」 僕はライアンをリビングに案内すると分かる範囲でブレインの事を話した。 ママ以外で信用出来る人はライアンしか居ない。 ブレインが言葉で人を操っている事。 昨日の夜に武装した男達に連れ去られた事。 「カート、、、」 ライアンはソファーに座ると静かに話を聞いてくれた。 「どうしよう、ライアン、僕ッ」 涙が止まらない。 「カート、、、非常に言いにくいんだが」 「なに?」 「人を操れる魔法使いなんて存在しない。それに武装した男達は警察が言う通り、有毒ガスで意識が朦朧とした時にみた幻覚じゃないのか?」 「え?」 「ブレインの事、気の毒だけど騙されてたんじゃ無いか?君には何も話さなかったんだろ? それに警察の調べじゃSocial Security numberどころか学校への在籍も確認出来なかったんだろ?」 「ブレインはそんな人じゃない。きっと魔法の力を秘密にしていたから」 「魔法の力なんて無いんだよ、カート。 残念だけど、君は騙されてたんだ」 「そんな、、、ライアン、、、僕の事、信じてくれないの?」 「君の事は信じるさ。信じてる。でも俺はブレインの事は信じて無い」 「ライアン、、、そんな、、、」 「こんな時に言うべきじゃ無いのは分かってる。でも、ブレインに騙されてたならハッキリさせておく。 カート、俺は君が好きだ。 君がクリスマスにブレインと正式に付き合う事になるだろうと思って黙っていた。 でも、カート、君をこんなに泣かせるヤツには渡せない。 俺と付き合おう」

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