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17歳の冬9

僕は冷静を装ってドアに向かう。 念のためシェーンはキッチンから持ってきた鍋と麺棒を武器にしてドア横のカーテンに隠れた。 「はい、どちら様ですか?」 僕は緊張してドアを開けた。 「カート•アンダーソンさんですか?国土安全保障の者です。 McCarter Theatre Centerで起きた有毒ガスの件で少しお話し良いですか?」 目の前には黒服の男が2人。 国土安全保障ってブレインが書いていたニセモノ? 1人は30代ぐらいの落ち着いた感じの男。髪型はオールバックにサングラス。 隣には黒人男性が居る。端正な顔立ちに短髪。 「警察に全て話しましたので、もうお話しする事はありません」 「ブレイン•アンダーソンの事は?君は事件当日、彼とミュージカルに来ていたと警察に話している。彼が消えた時の事を話して欲しい。我々も彼を探している。彼を助けて保護しに来たんだ」 「何も知りません」 「彼の命が掛かっているんだ」 「何も知りません」 「彼を見つけて保護しないと」 「保護?捕まえるって事?!僕は知らない!!」 「おい、落ち着け。君達やブレインに危害を加えたり、捕まえたりしたい訳じゃ無い」 黒人の男が一歩前に出た。 「国土安全保障なんて嘘ですよね?」 さっきブレインのスマホにも国土安全保障を偽った男が訪ねて来たと書いてあった。 「俺はフェニックス」 黒人の男性が名乗った。 「特務機関world Intelligence Agency。WIAのエージェントだ。 こっちの堅物はエージェント•ハワード。騙すような真似してすまない」 「フェニックス、、、所属は明かすべきじゃ無い」 エージェント•ハワードと呼ばれた男性が咎めるがフェニックスはお構い無しだ。 「正直に話して、信じて貰った方が良いでしょ。今は一刻を争う時だ。ブレインの命がかかってる」 「ブレインの命がかかってるってどういう事ですか?あなた達も探してるって言ってるけど、誰がブレインを連れ去ったの?」 「ブレインを連れ去ったのはカサドールのハンター共だ」 「ハンター?」 「そう、ブレインみたいな能力者を狩るハンター。奴らは捕まえた能力者を切り刻んで実験台にしてる」 「そんな、、、」 ブレインの命が危ない!? 「ブレインを保護するために協力してくれ」 でも、この人達を信じていいの? ブレインを保護したいと言いながら彼らも監禁したり人体実験をする可能性もある。 「あなた達を信用出来ない」 「俺達はブレインの仲間だ。証明する」 フェニックスはそう言うと両手を広げた。 「ブレインはネオヒューマンズ。能力者だ。そして俺もだ」 フェニックスの背中から大きな翼がバサッと音を立てて開いた。

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