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17歳の冬10
「う、、、そ、、、」
僕は目の前で翼を広げたフェニックスに驚いて後ろにひっくり返りそうななった。
「おっと危ない」
フェニックスが腰を抜かした僕をフワッと抱き上げた。
「ブレインを探すのを手伝ってくれ」
「わ、分かった。
シェーン!」
玄関横のカーテン裏に隠れているシェーンを呼んだ。
「ブレインの次は鳥人間かよ」
「フェニックスだ」
「シェーン、それよりブレインのスマホ」
シェーンに預けていたスマホをフェニックスに渡す。
「あの、そろそろ下ろしてくれます?」
僕はまだフェニックスにお姫様抱っこ状態で床上90cmに浮いている。
「おっと、失礼」
下ろしてもらうと、説明する為にスマホのロックを外した。
「色々見たけど、居場所を見つける手掛かりは無くて、、、」
「ブレインは頭が良い。私達WIAも保護の目的で何度も探したが、悠々と逃げられた。きっと捕まった時の事もきっと考えてあるはずだ」
エージェント•ハワードが言った。
何か居場所を探せる手掛かり、、、。
「ブレインは君に何か言って無かったか?最後に会っているのは君だけだ」
『僕を忘れないで。
また会えたら君とキスしたい』
恥ずかしいけど最後に言われた言葉だ。
「ん?そのセリフ、知ってるぞ」
「え?どういう事ですか?」
「古い映画だ。確か、、、Forget-me-not。忘れな草というタイトルで花の由来となった中世ドイツを舞台にした映画だよ。
登場人物は、明日に結婚式を控えていたドイツ人の騎士ルドルフとその恋人ベルタのカップル」
エージェント•ハワードは記憶を辿る。
「確か主人公ルドルフの最後のセリフが『僕を忘れないで。
また会えたら君とキスしたい』だったはずだ」
その時シェーンが言った。
「西に37km行くとルドルフ通りっていう道がある。小さなドイツ人街だ。俺が親父と良く行っていた林道の近く。
しかも、その通りに廃屋になったベルタって名前のモーテルを知ってる。関係あるか?」
「ブレインが残したヒントかもしれない。
カサドールは旧ナチスの関連施設をよく利用している。アメリカ国内でもナチスに傾倒したネオナチの小規模施設は沢山ある。そのうちの一つをカサドールのハンター達が利用していた事は今までにもあった。そのドイツ人街、怪しいな」
ブレインを見つけられるかも!!
「a部隊をルドルフ通りに急行させる。フェニックス、君は先にモーテルを偵察、人の出入りが無いかチェックだ」
「了解。現場まで5分かならない。早く部隊を招集して下さいよ」
そう言うとフェニックスは僕の家の玄関横にある窓から飛び出した。
まるで天使みたいだ。一気に上昇するとものすごい勢いで飛び立った。
「ま、待って僕も、、、」
「協力感謝するよ。しかし君達はまだ高校生で民間人だ。連れて行く訳には行かない。家で無事を祈っていてくれ」
エージェント•ハワードもすぐに立ち去った。
僕は、ブレインに助けられてばかりだったのに。
1番大事な時に役に立てない。
悔しい。
僕だって、、、好きな男を、、、ブレインを守りたい。
玄関に立ち尽くしているとシェーンが溜息をついた。
「付いて来いよ」
「え?」
「探しに行くんだろ、ブレインの事。俺なら奴らより先にベルタってモーテルに行ける。抜け道を知ってる」
「どうして、そこまでしてくれるの?君は僕がずっと嫌いだったんだろ?」
シェーンは目を逸らす。
困った顔をしている。
「俺はお前が好きだった」
「え、、、?」
「今まで苛めて悪かった。認めたく無かったんだお前を好きだって。ゲイかもしれないなんて信じたくなかった。本当にすまない。この事はブレインも知ってる」
「そんな」
「だから、罪滅ぼしさせてくれ」
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