22 / 112

17歳の冬12

バァーン! 「こっちだ」 シェーンは銃を一発、ブレインが捕らわれている処置室へ向けて発砲した。 僕は音と同時に2人兵士に向かって物陰から一気に近づく。 手前に居る男の手首を掴むと、肩を軸に回転なげを掛けようとした。 「なんだこいつ?!」 だけど兵士は僕の想像以上に体重があった。銃や装備で更に重たい。 それに百戦錬磨の現役兵士。 力で押し戻された。 次の瞬間には無防備だった膝下を払われて背中から床に倒される。 そしてみぞおちに膝を突き立て体重を掛けられた。 「ヴグッ」 背中から後頭部を強打していて目の前が一瞬霞む。その後にみぞおちからの激痛。 息、出来ない、、、苦しい!!  「子供じゃねーか?何でこんな所にいるんだ?」 「おい、子供だろうと中に入ったヤツは殺せと言われてる。もう1人は銃も持ってる。油断するな」 もう1人の兵士はシェーンに向けて発砲を続けている。 僕は死ぬのかもしれない。 苛められて、辛くて、寂しかった。 ブレインはそんな僕の前に突然現れた。 初めてだった。ありのままの僕と友達になってくれた。 優しくて、キラキラした人。 僕が恋した人。 もう会えないなら最後に、、、 その時、視界の隅で処置室のドアが開いた。 「ドクター•ハンクス、危険です下がっ!!?ウグッ、、、」 顔に生温かいモノがかかる。 血? 「ドクター?!どうし、、、グアッ!!」 僕を抑えていた兵士は僕の隣に倒れた。 首には手術用のメスが刺さっている。 もう1人の兵士もすぐにドサッと倒れた音がした。 床に倒されたまま見上げると白髪の白衣を着た老人が虚な目で立ち尽くしていた。 その後ろから 「カート?!嘘だろ?!」 僕の恋した人が現れた。 これは夢? ブレインは慌てて僕に駆け寄る。 意識が途切れそう。目の前が暗くなる。 「カート!!カート!!お願いだ目を開けて」 ブレインの震える声。涙。 「カート!!お願いだっ、、、」 ゆっくり目を開けると、少し無精髭が伸びたブレインが青い顔をして震えていた。 「キスして」 僕は声を絞り出した。 「カート」 ブレインの唇はカサカサしてて冷たい。 僕は遠のく意識の中で、シェーンやフェニックスの心配する声を聞いた。

ともだちにシェアしよう!