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17歳の冬13

頭が痛いな。 目を覚ますと、どこかの病院に居た。 「どこ?」 「WIAニューヨーク支部の医務室だよ」 「ブレイン?」 疲れた顔をしたブレインが僕の手を両手で包み込む様に握っていた。 「カート、巻き込んで本当にごめん」 涙を浮かべるブレインに、僕は微笑んだ。 「いつも助けてくれた君を、今度は僕が助けたかったんだ」 「カート、君が好きだ。心から」 「僕も」 2回目のキスは少し温かかった。 「おい。その辺でいいか?俺もさっきから居るんだぞ」 シェーンはブレインの奥にある簡易パイプ椅子に座っていた。 「シェーン、無事で良かった」 顔を赤くしたシェーンはぶっきらぼうに「まあな」とだけ答えた。 その後、僕はブレインから今回の事件について詳しく聞いた。 ブレインはいつも移住先の警察官を操って、怪しい人物や事件を報告させるようにしていた。 それがシェーンの父親だった。 そしていち早くカサドールの動向や、施設の場所を見つけて、自分が捕まった時に備えていた。 僕には施設の場所のヒントを託した。 それが 『僕を忘れないで。 また会えたら君とキスしたい』 古い映画Forget-me-not。忘れな草というタイトルの映画の中のセリフ。 ルドルフ通りとベルタというモーテルに繋がるヒント。 更にブレインは事前にドクター•ハンクスにも接触して暗示をかけていた。 ドクター•ハンクスにブレインを救助させ、ハンター達を襲わせた。 「君が助けに来た事は想定外だった。僕は施設のヒントをカートに託したけれど、それはWIAのエージェント•ハワードがカートから話を聞いて救助に来てもらう為だった」 ブレインは僕が乗り込んで来るなんて思ってなかったみたいだけど、僕はどんな危険な状況でもやっぱりブレインを助けに行くと思う。 その後はエージェント•ハワードからはこっ酷く怒られた。 「高校生の民間人だ。訓練も受けていない。私は許可しなかったのに応援も待たずに施設へ乗り込んだ。万が一怪我や、最悪死亡した場合、誰が一番悲しむかちゃんと考えるんだな」 「すみませんでした」 「訓練を受けろ。上級エージェントの指示は聞け。テストは大学入試前だ」 「え?」 「カート•アンダーソン。WIAで働く気は?」

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