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17歳の冬14

「ブレンドコーヒーに、カフェラテ。ラテはミルク多目砂糖2つお願いします」 僕は近所のコーヒーショップで2人分のコーヒーを注文する。 コーヒーを受け取って、一番隅の席に座っているとブレインが来た。 「待たせた?」 「大丈夫。今着いたところ。はいカフェラテミルク多目砂糖2つ」 「ありがとう。僕のオーダー覚えてくれたんだ」 「当たり前でしょ」 ブレインは意外と甘党だと知った。 「でも今日も僕の愛しい人は放課後、彼氏を放っておいて他の男の所へ行くんだよね?」 「ライアンの道場には行くよ。合気道とキックボクシングを習いにね」 「こんなに天使のような美少年なのに、以外と武闘派だよね」 「嫌?」 「刺激的で益々惚れてる」 ライアンにはブレインと付き合う事を伝えて、正式にお断りした。 もう、ライアンには会えない覚悟だったけれど。 ライアンは僕の気持ちを受け入れてくれて、友達としてこれからも付き合ってくれる事になった。 「おい、お前ら待たせたな」 「待ってないよシェーン、放課後デートの邪魔しに来たの?」 ブレインは恨めしそうにシェーンを見上げた。 「ブレイン、お前命の恩人に失礼だぞ」 「シェーン、座る?」 シェーンは僕の横に椅子を引き寄せガタンと音を立てながら座った。 「オヤジが最近、サウスストリートの角で不審な車を見かけたって言ってた。一応、報告。 また、ブレインを狙ってるヤツらかもしれねーからな」 僕たち3人は秘密を共有してる。 ブレインの事やWIAの事、カサドールの事。 「WIAのヤツらから報告あったか?」 「今の所は何も。ファミリーケア担当が近々警護に来るらしいけど」 「まあ、用心しろ」 「報告ありがとう」 「じゃ、俺はアメフトの練習戻るから」 「頑張って!ブレインと応援いく!」 「カート、お前だけでいいっての」 「いやいや僕も行くよ」 シェーンは手を挙げて練習へ戻った。 ライアンと出会って、ブレインと出会って、僕の人生は大きく大きく変わった。 少し前までならシェーンと普通に話すなんて考えられなかった。 毎日、怖くて、寂しくて、逃げてばかりだった僕の人生。 今ではイジメを気にせず、好きな人と手を繋いで堂々と歩いて行ける。 これからの人生がどうなるか分からないけど、出来ればブレインと穏やかに過ごしたい。 そして、ほんの少しだけ、困っている人を見掛けたらライアンのように手を差し伸べられる人間になりたい。

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