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18歳の夏5

「君こそどうしてこんな所に?」 アマンダはチアの衣装を着ている。 「練習してたのよ。チアリーディングの。 あんたバカなの?見たら分かるでしょ? 私はモアヘッド州立大学のイーグルスに絶対入りたいの。その為には死ぬ気でやるしかない。 人の何倍もやんなきゃいけない。 じゃなきゃ、私の高校生活が全部無駄になる」   「そんな、高校生活が無駄になんて、、、」 「あんたには分からないわよ。お姫様。 チアなんて一握りしかプロにはなれないのよ。その為に毎日ここで練習してる。体重だって8キロ落とした」 「真剣なんだね」 「それよりあんたは何でここに?ウザい彼氏は?」 「ヤバイ忘れてた!僕追われてるみたいなんだ」 「は?誰に?男?」 「男!」 「あんた本当に最低。また誰か誑かしたの?」 「え?違うよ、そういう意味じゃ」 その時ガチャッとドアが開いた。 ヤバイ! 「アマンダ、下がって」 「え?」 僕は最初に廃倉庫に入ってきた男に一気に近づいた。 先手必勝! 相手は銃を構えていた。 僕は右手で銃を払いながら身体を左に抜き、手首を上から押さえ膝を低くした。勢いで相手の体勢を崩すとそのまま手首を反対へ返して回転するように男を振り回しながら地面に倒す。 合気道の技で、入り身と膝抜き、小手返しだ。 2人目の男は銃を持っていなかったから足払いで体勢を崩して、そのまま両肩を掴み引き寄せながら床に倒れこみ足を相手の腹に突き上げ頭から床に向かって頭から落とした。 すぐに身体を捻り起き上がると3人目はさっき教えて貰ったミドルキックを相手の太腿に。 体勢を崩すと銃を素早く奪って構えた。 銃の抜き方や構え方はエージェント•メイから教わってたからスムーズに行った。 「嘘でしょ。あんたお姫様じゃなく王子様なの? 彼氏といい、あんた達何者?」 「アマンダ、今は下がって!危ないから」 僕は入り口側で倒れている男達に銃口を向ける。 「あなた達誰?何で僕を追って来るの?」 その時、背後から突然声がした。 「逃げ込む時は避難ルートまで確保しておくべきだな。後は敵の正確な人数の確認が甘い」 振り返るとアマンダを背後から羽交い締めにし顳顬に銃を突き付けた男が居た。 敵は4人居た?! 「カ、、、カート、助けて」 アマンダは怯えて動けなくなっている。 「女を殺されたくなければ銃を床に置け」 男は肩ぐらいある長い黒髪をオールバックにし青白い顔に不敵な笑みを浮かべている。 「まるで子供のお遊びだな。さっさと2人とも殺して仕事を終わらせるか」 「おい、オッサン。お前こそ殺されたくなきゃ、アマンダを離せ」 裏口から忍び込んだシェーンが現れた。 男の後頭部に銃を突き付ける。 「ちゃんと避難ルートは確保してたでしょ?」 僕はブレインの後、すぐにシェーンにもSOSの電話をかけていた。 「アマンダを離してあげて」 「成る程ね。バカな子供じゃ無いって事か」 黒髪の男は両手を上げる。 「私の名前はミスト。またの名をミラージュ。お前達を幻影の世界へ誘おう」 「え?」 両手を広げたミストという男から突然、霧が大量に発生した。 視界は一瞬で真っ白になる。もう1m先も見えない。 「アマンダ?シェーン?大丈夫?!」 誰からも返事は無い。 次の瞬間、突然に霧が晴れた。 「え?」 廃倉庫に居たはずなのに、目の前は、、、 「僕のおばーちゃん家?」 懐かしい祖母の家だ。古い木造二階建て。 玄関を入って右手のリビングに僕は立っていた。 「カート」 この声!? 「パパ?パパなの?」 玄関からゆっくり入って来たのはずっとずっと夢見ていたパパの姿だ。 病気で亡くなってからもう長い事、写真でしか見ていないパパが笑顔で今、僕の目の前に立っている。 「カート、おいで」 両手を広げたパパの胸に飛び込んだ。

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