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18歳の夏8

「あんた、見えてないの?!」 アマンダが怯えた声で指差した。 僕の腕を掴んでいたのは、人形の黒い霧。 目や口の部分だけ不気味に穴が空いていて、笑った顔に見えた。 背筋がゾクッとす。 僕は慌てて黒い霧を振り払った。 「早く!こっち来な」 「あ、ありがとう、助けてくれて」 ブレインの部屋のバスルームのドアを開けると再び真っ白な霧の中だ。 「ま、待ってアマンダ」 数歩前に居るアマンダの背中を見失いそうになって慌てていると、また急に目の前が明るくなった。 「え?」 今度はライアンの道場? 「カート!」 ライアンが目の前に現れる。 でも、コレはライアンじゃない。 ライアンの顔をした、、、黒い霧。 「カート、君が好きだ。愛してる」 「ライアンの顔で言わないで」 違うって分かってるのに。 真剣な顔で言わないで。 「俺と一緒に行こう」 やめてよ。 「君が好きなんだ」 どうしよう、何で僕はこんなにドキドキしてるの?! 「い、行かない」  心臓が飛び出そう、、、 「愛してる」 ライアンの顔が僕に近づいた。 どうして僕は振り払えないの?! どうして僕はライアンとキスしてるの?!

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