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18歳の夏19

暫くは立ち直れそうにないと思ってた。 ブレインの事。 アレから3日は寝込んでる。 学校もライアンの道場にも行ってない。 でも、もう寝込むのは辞めた。 泣いても現実は変わらないって知ってる。 僕は学校に行く支度を整える。まだ少し目が腫れてる。 学校でブレインに会うのは怖いけど。 このままじゃ前に進めなくなってしまう。 「がんばろ」 学校に向かっていると校門の辺りに人集りが出来ている。 「なんだろ?」 女子のキャーっという甲高い悲鳴が上がっている。 事件かと思って駆け寄ると女子の中心にブレインの家のバスルームにいたサムがいる。 どうやら人集りはサムが目当ての様だ。 まるでアイドルみたい。 確かにイケメンだった。 でも今はブレインの浮気相手なんか見たく無い。 そそくさと通り過ぎようとしたら見つかった。 「カート!君!カートだろ!探してたんだ」 サムに声を掛けられた。 するとサムを囲んでいた女子から一斉に睨まれる。しかも、凄く殺気立っている。 ジリジリと物凄い形相の女子達が僕に近付いてくる。 え?どういう事?! みんなどうしちゃったの?! 「男の癖にサムに近づいたの?」 「目障りよ、消えて」 「私からサムを奪う気ね」 「サムは私のものよ」 「え?なに?どういう事?」 今にも飛び掛かりそうな女子。 「ストップ!」 そこにブレインの声がした。 女子は全員動かない。 「カート大丈夫?」 「う、うん」 「サム、学校には来ない約束だろ」 ブレインが深い溜息をつく。 「だってお前がカートを紹介してくれないから」 「当たり前だろ?兄さんに紹介して僕がどうなったか分からない?」 え?兄さん??

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