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18歳の秋3
「どこへ行くの?」
「秘密だよ」
「ドキドキする」
「ドキドキしてて」
ブレインの車で数十分かな?
ゆっくり車が停車した。
「まだ目隠ししてて」
ブレインは先に降りて助手席へ周りドアを開けてくれた。
「僕の手に掴まって」
ゆっくり車から降りる。
「こっちへ」
ブレインに手を引かれ、目隠しのまま進む。
見えない分、匂いや音が鮮明。
花の香り?それに草木の青い匂い。
鳥の鳴き声。
山の中?どこだろう?
何も怖くない。
繋がれた手を安心して握り返せる。
「カート、目隠しを外すよ」
ブレインはそっとスカーフを外した。
目の前には古い中世の城に秋バラのフレンチロードが咲き誇っている。
「ここは19世紀に建てられた城だよ。所有者には許可を取ってある」
「すごく綺麗な場所だね。こんな所初めて」
ブレインはゆっくり跪く。
え?
「カート、僕は自分の能力のせいで他人と距離をとって生きてきた。君と出会うまでは。
この先も僕らの人生は困難な事が沢山あるかもしれない。
でも、僕はどうしても君と生きて行きたいんだ。
僕の隣には、ずっと君に居て欲しい。
カート•アンダーソン。僕と結婚して下さい」
18歳の秋。
僕はプロポーズされた。
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