69 / 112

My Dark Side4

「リチャード先生に目つけられたみたいだな」 授業が終わるとチェンに声を掛けられた。 「まあ、僕が悪いから仕方ないよ。リチャード先生の話を聞いてなかったんだし」 チェンとは寮部屋も同じだ。 何となく一緒に行動する事が多い。 あまり干渉して来ないタイプだし、物静かで落ち着いたタイプの彼とは気が合っている。 「リチャード先生、話が長いから仕方ないよ」 チェンは肩をすくめて笑う。 「僕は延長戦を聞きに行ってくるよ」 「頑張れ」 「また後で」 リチャード先生の部屋は1フロア上にある資料室の奥だ。 ノックしてドアを開けると、椅子に踏ん反りかえったリチャード先生が待ち受けていた。 さっさと謝って帰ろう。 「すみま 「お前、このままじゃ捕まるぞ」 「え?」 リチャード先生の目は真剣だ。 「お前は大学入学前から監視対象だった」 「何の話ですか?」 「お前の能力は強過ぎる。色々なネオヒューマンズを見てきたがお前のその能力はかなり危険だ」 確かに僕の能力は使い方次第でかなりの危険性を孕んでいる。 「WIAは慈善団体でも愛護団体でもない。お前が能力をコントロール出来なくなった時、どうなるか覚悟しておけ」 僕は無意識に能力を使ってしまう事が頻発している。 リチャード先生はすぐに気付いたけれど、周りのクラスメイトには気付かれていなかったから油断していた。 「奴らは制御不能なネオヒューマンズに容赦ない事だけは覚えておけ。気を抜くな。ここに味方は誰も居ない」 リチャード先生はそれだけ言うと「もういい」と手を振って部屋から追い出した。

ともだちにシェアしよう!