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My Dark Side7
誰にもカートと僕を引き離させない。
僕はカートの部屋へ急ぐ。
絶対に捕まれない。
WIAは追加でエージェントを送り込んできた。
さっき4人のエージェントを殺してしまった事でWIAも本気だ。
実弾を構えたエージェントが数十人はいる。
寮の学生達は悲鳴を上げパニック状態で外へ逃げ出している。
カートの寮部屋は隣の棟。
中庭を抜けて、隣のカートの部屋のある棟へ移るのはかなり危険だ。狙い撃ちされる可能性がある。
物陰で飛び出すか迷っていると中庭の向こうにカートが見えた。
訓練生達も銃声に避難している。
カート!!
声が出ない!!
僕は思わず中庭からカートに向かって走り出した。
バンッ バンッ
直ぐに右肩、左脇腹辺りに衝撃が走り激しい痛みに地面に倒れる。
「ブレイン?!!」
カートが驚いて駆け寄ろうとした所をエージェント達が制止する。
「ブレイン、なんで!!ブレイン!!」
カート、危ない!!こっちに来たら銃弾に当たる!!
必死に僕へ手を伸ばすカートを見た直後に目の前が真っ白になった。
深い霧が突然、中庭を覆い尽くす。
視界が悪くなり銃撃が止まった。
今がチャンスだ。
僕とカートを隔てるものは排除する。
全て排除する。
全てだ、全て排除してやる!!
どんどん身体が熱くなり、神経が研ぎ澄まされていく。
霧で視界が悪いのに、エージェント達がどの位置にいるか手に取るように分かる。
自分の潜在意識が脳内を駆け巡り、頭の中が嵐のようだ。
全員排除してやる!!!!
全員排除してやる!!!!
邪魔する者すべて!!!!
エージェント達がバタバタと次々倒れて行くのが見えなくても分かる。
カートを制止していたエージェント達も突然バタバタと倒れ始めた。
「ブレイン!!」
霧をくぐり抜け中庭にカートが走って来て僕の上半身を支える。
「何があったの?何で撃たれたの?」
僕は声の出ない口を動かした。
「ブレイン?声でないの?」
ゆっくり頷く。
「ブレインの力、暴走してるの?」
まずい、コントロールが出来ない。
自分が何をするか、もう分からない。
制御出来ない!!
君を傷付けたくない!!
僕は君を守りたかったはずなのに。
何でこんな事になったんだ?
ただ、守りたかった。愛したかった。
どうしてこうなった?
脇腹から流れた血が地面を濡らした。
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